第11回防災まちづくり大賞(平成18年度)

【総務大臣賞】東京駅周辺防災隣組の取組み-防災まちづくり活動-

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東京駅・有楽町駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会
(東京都千代田区)

事例の概要

 大手・丸の内町会、有楽町町会、内幸町町会では、大地震発生後の「帰宅困難者の対応について」という大きな問題を解決する中で、「ビジネス街らしい防災」、「事業所間の共助」という考え方を取り入れ、地元の発意で調整を重ね、平成16年1月9日に「東京駅周辺防災隣組」(以下「隣組」という。)が発足した。なお、同日付で千代田区から、「東京駅・有楽町駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会」として自主防災組織の位置付けを受けている。

【先駆性】
 「隣組」では、一企業では対応しきれない事態に備え地域企業が連携し、災害時の対応マニュアルの作成や帰宅困難者発生時に備え食料備蓄を進めている。全国で初の外国人対象の帰宅困難者避難訓練を実施し、在日の各国大使館から高い評価を得ている。

【適時性】
 現代は、生活の多くの時間を行きずりの通行人として過ごす時代であり、これらの行きずりの人々が形成する暫定コミュニティに対する安全管理の活動が極めて重要になっている。行きずりのすべての通行人の安全を図ること及びIT機器として「QRコードシステム(二次元バーコード)」及び「携帯電話(QRコード読み取り機能付き)」の活用を実証実験することを目的に、QRパトロール活動を行った。これは、一定の区域にQRシートを貼り付け、携帯電話でQRコードを読み取ることにより、避難等の情報提供をすると共に、防災上気がかりな情報について気づいた人がQRシートを通じてサーパーに情報を書き込むことができるシステムである。メンバーにはメーリングリストを活用し、情報提供することができ有意義であった。平常時の身近な活動をより活性化するため、現在も月に1度パトロールを継続中である。

【連携】
 事業所間の連携を図るため、情報交換の手段として確立させたメーリングリストを活用し、丸の内消防署から記信している「丸の内消防防災マガジン」を各企業に配信している。その他、消防署・区等の防災機関と随時連携を図り情報交換を実施している。

【自主性】
 ビジネス街らしい防災、事業所間の共助という考え方を取り入れ、地元の発意で調整を重ね、平成16年1月9日に「隣組」を発足した。「隣組」の活動は帰宅困難者対策がベースとなっているが、中越地震の被災地の視察や、海外で発生した災害の情報収集及びメンバーに対し情報提供を実施している。また、国連防災世界会議等への支援及び、企業の自主防災組織発足を目指す団体等の講演も実施している。

【地城特性の反映】
 ビジネス街という地域特性から事業所間の共助を目的に、月に一度の総会を中心に講演会等を開催しており、各企業の担当者同士が顔見知りとなり活発な意見交換を行い連帯感が増している。災害発生時においても各社が自社ビルを放棄せずに活動するため「地区防災計画ガイドライン」を掲げ、組織内連携、情報共有化、物資流通、帰宅困難者対応、インフラ整備について取り組んでいる。

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QRコードを活用した情報収集

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QRコード及び掲載される情報

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国連世界防災会議水口事務局長発表風景

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中越地震(被災視察)

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東京駅周辺防災隣組のパンフレット

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帰宅困難者訓練(東京駅・有楽町駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会のジャンパーを着用し訓練実施)

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防災隣組全国会議

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国連世界防災会議プレゼンテーション

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帰宅困難者避難訓練(AED取扱)

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外国人対象の帰宅困難者避難訓練

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大型スクリーン

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大型スクリーンで映し出したメッセージ内容

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英語版

苦労した点

  • 1.ビジネス街らしい防災訓練をいかにすベきかを常に考え訓練計画を作成すること。
  • 2.外国人対象の帰宅困難者避難訓練では、詳細な話、繊細な話を伝えるのは困難な面があり、骨太な情報を確実に伝える方向で企画を調整した。
  • 3.QRパトロールについては、定常的に実施しないと効果が薄れるため、参加者人数を維持することに骨を折った。

特徴

  • 1.帰宅困難者問題は、30数年前からその危険を指摘されていたにもかかわらず、放置され続けてきた問題である。その不毛の循環にピリオドを打ったのが、「隣組」の設立であり、その設立の決断そのものが自主性の高さの証と考えられる。
  • 2.外国人が被災した時のとまどいは想像を超えるものがあり、当の外国人も不安を感じながら毎日を暮らしている。外国人という防災弱者に対する配慮を行える数少ない機会が外国人帰宅困難者避難訓練であり、その取組みは新聞各社に掲載された。
  • 3.「隣組」の活動は、NHKテレビ番組「難問解決!ご近所の底力」において取り上げられ、波及効果を促している。

委員のコメント【防災まちづくり大賞選定委員 金谷 裕弘(総務省消防庁国民保護・防災部防災課長)】

 東京駅周辺防災隣組の設立趣旨には「企業として「街」が直面するさまざまなリスクに対する防衛姿勢をとること、「企業間の共助」という新しい防災理念の下に有志が集まり知見を出し合い実践的な活動を展開すること、それが東京駅周辺防災隣組の基本的スタンスである。」と記されている。
 企業が、街の一員としての意識と自覚を持ち、実際に活動を行う。まさに「町内会」の一員としての責任と役割を「企業」として果たしていく、また、企業同士が助けられたい、助けたい。それが「隣組」という名前に表われている。
 実際の活動は、「人」が行っていく。体験共有のため、「月に1回は会う」こととして、必ず月1回程度の総会を開いているとのことである。「街」の一員として活動するならば、街を知らなくてはならない。企業の「建物」の中から外に出て「街」を知る必要がある。そのため、「街を歩く。」
 啓蒙活動、行政組織との連絡体制、交通機関、ライフラインとの連絡、地域での情報共有、地域での備蓄、そして、千代田区帰宅困難者避難訓練や帰宅困難者対応と、地域における企業の防災活動として、さまざまな取り組みを通じ、逃げなくていい街、機能が残っている街として、日本を代表する企業・団体が集まるこの地区の安全性を世界に発信することを目標に活動を展開している。
 街の一員としての企業のあり方を全国的に展開するため、全国会議なども開催されているが、企業の地域におけるあり方として、こうした取り組みが全国に広がることを願ってやまないところである。

団体概要

  • ・ 大手・丸の内町会、有楽町町会、内幸町町会の地区内企業数:約4,000社
  • ・ 東京駅周辺防災隣組加盟企業:62社
    (数字は平成18年8月1日現在)

実施期間

平成10年1月~