第4回防災まちづくり大賞(平成11年度)

【消防科学総合センター理事長賞】小学生向け災害副読本「てっぽう水」作成

【消防科学総合センター理事長賞】小学生向け災害副読本「てっぽう水」作成

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上宝村(岐阜県)

事例の概要

 上宝村は槍ヶ岳、笠ヶ岳をはじめとする雄大な北アルプスに囲まれるとともに、露天風呂の数は日本一を誇る奥飛騨温泉郷を擁しており、雄大な自然と豊富な温泉を目的に、年間200万人の観光客が当村を訪れている。
 しかし、自然に恵まれているために、災害発生も多い。近年では平成8年7月の集中豪雨により、村内新穂高温泉地区において山腹崩壊が発生し、土石流発生の恐れがあったため、旅館・ホテル等に対し避難勧告が発令された。幸いにも人的・物的な被害はなかったが、度重なるテレビ・新聞の災害報道により観光地としてのイメージダウンは避けられなかった。
 村史上、最も大きな災害として村民の記憶に残っているのは、昭和54年8月22日の集中豪雨により村内栃尾地区にある洞谷が決壊し、県道を車で通行中の観光客4名が土石流に巻き込まれた洞谷災害である。今年が洞谷災害発生から20周年を迎えるにあたり、地域の子供たちに過去に起きた災害について知ってもらうとともに、災害に対する知識と備えを身につけてもらうため、学校教材の副読本としての冊子を作成した。
 今回作成した副読本「てっぽう水」は、小学生にもわかりやすく見てもらうため、文章表現をQ&A方式でまとめるとともに、興味を持たせるため、写真やイラストを多用するよう工夫した。
 編集にあたっては、小学校の先生及び砂防工学を専攻する大学教授にもメンバーに加わってもらい、内容についての検討を重ねた。小学生に理解してもらうための表現方法について、それぞれの意見を取りまとめる作業が大変であったが、できあがったものは小学生にも大変好評である。
 小学校では授業の一環として防災に関する授業を行っており、その際にこの副読本を活用してもらっている。

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パンフレット表紙

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パンフレット見本(洞谷災害の様子)

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パンフレット見本(災害の歴史)

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パンフレット見本(災害のしくみ)

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パンフレット見本(砂防施設について)

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パンフレット見本(災害に対する備え)

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パンフレット見本(上宝村の今後について)

苦労・成功のポイント

 学校の先生等の都合により、全体会議を開催することが難しかったため、それぞれの意見・資料を集約する作業に苦労した。また、専門的資料が多かったため、子供向けの副読本とは別に、資料編を作成した。Q&A方式の文章及び写真やイラストによりわかりやすいと好評である。

成果・展望

 小学生が村の災害に関する歴史を知るとともに、自然災害の恐ろしさについて理解を深め、災害に対する心構えを養ってもらうことを期待している。

実施期間

 平成10年~平成11年

事業費

 2,992,500円