第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

71年間続いている少年消防クラブ員の「火の用心」防火広報

優良事例(一般部門)

71年間続いている少年消防クラブ員の「火の用心」防火広報

繁窪少年消防クラブ
(新潟県長岡市)

事例の概要

■経緯

 昭和初期は、薪を燃料としたかまどやろうそく等で火気の取り扱いをしており、この地区でも火の不始末や少しの不注意でたびたび火災が発生していた。
 昭和15年頃、学校に赴任していた校長先生が、子供にもできる地域貢献として「火の用心」の呼びかけを推奨したことが契機となり、活動が始まった。
 活動当初は、ほかの地区でも同様の巡回広報が実施されていたが、生活様式の変化や少子化の影響で自然消滅してしまい、現在まで継続されているのはこの地区だけである。
 この活動が定着してから当地区の火災は、昭和29年の1件のみで60年近く無火災が続いている。
 活動初期は、約40人の子供で結成し、地区を2つの担当区域に分けて巡回していたが、現在はクラブ員6人が2つの区域を隔日に巡回広報している。
 過疎の進行で子供の数も減少してきているが、昭和55年に少年消防クラブとして組織を結成し、長く無火災が続くように地道な活動を続けている。

■内容

  • 1. 夕食の準備時間に合わせて、肉声と拍子木による地区内の防火広報巡回を実施している。
  • 2. 当初は、地区の全世帯を訪問して、玄関から直接「火の用心お願いします」と呼びかけていたが、子供の減少によって幹線道路を巡回する方法に変更された。
  • 3. 豪雪地帯なので、冬季は子供の事故防止と負担軽減のため、活動を休止することとしている。

住宅用火災警報器を説明

住宅用火災警報器のPRに出発

住宅用火災警報器のポスター貼り

先輩が植えてくれた木がこんなに大きくなりました

防火広報のための巡回に出発

防火広報を実施

苦労した点

  • 1. 活動当初は約40人いた子供の数が、徐々に減少して現在は6人で活動している。
     そのため個人の負担が大きく、少々の体調不良や外出等の用事があってもなるべく全員が揃って広報活動ができるように努めている。
  • 2. 天候の急変や寒暖の気象変化にもめげずに春から秋まで一貫して広報することは大変困難であり、毎年上級生が下級生を励ましながら厳しい条件を克服し、広報活動を続けてきた。

特徴

  • 1. 71年間の継続活動で、親子3代に亘って広報活動を経験してきた世帯が多く、地区全体で子供たちを見守りながら活動を継続している。
  • 2. クラブ員の弟や妹も自発的に活動に参加しており、子供自身が自覚と責任をもって活動している。この防火広報を通じて幼少年期からの防火に対する強い意識が、地区の無火災継続の原動力になっている。
  • 3. 地域の過疎と高齢化が進行するなかで、子供たちの元気な声が響き渡ることによって地区に活力を与えている。
  • 4. 住宅用火災警報器の設置促進のため、地区内にポスターを掲示したり、パンフレットの配布に積極的に協力してきた。
  • 5. 新潟県の植樹事業に地区の住民とともに参加して、環境保護の大切さを学習したり、樹木の維持管理や手入れにも協力している。
  • 6. 長年の活動によって、新聞やテレビで数回活動が紹介されており、住民やクラブ員の励みになっている。

団体概要

構成人員:少年消防クラブ員 6名
 昭和55年に繁窪地区の小学生で結成された、長岡市で唯一の少年消防クラブである。

実施期間

昭和15年~71年間