第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

【住宅防火対策普及奨励賞】全戸訪問による住宅用火災報知器設置促進事業

住宅防火対策普及奨励賞
(住宅防火部門)

全戸訪問による住宅用火災警報器設置促進事業

湊町婦人防火クラブ
(愛媛県伊予市)

事例の概要

■経緯

 既存住宅にへの住宅用火災警報器の設置義務化に伴い、婦人防火クラブ員が地域全戸を訪問して住民に住宅用火災警報器設置の意識啓発・普及促進を図った。地域の実態を把握し、隣近所の住人について理解し合うことで、火災・災害発生時に迅速かつ適切な対応ができる地域づくりを目的として事業を実施することとなった。

■内容

  • 1 「防火意識の底上げ」の実施
     以前より火災予防運動期間中の防火・防災教室をはじめ、機会があるごとに住民へ住宅用火災警報器設置を促していたが、設置率が向上する気配はなかった。また、パンフレット等で普及活動を行っても必要性は理解してもらえるが設置行動には至らず、「防火意識の底上げ」および「既存住宅での1個からの設置」の実践が課題となっていた。
     そこで、年2回の住宅用火災警報器研修等で会員自らが積極的に学習して知識を深めるほか、消防署職員等を講師として招いて地域住民への説明会を実施することで「防火意識の底上げ」を行った。
  • 2 全戸訪問による住宅用火災警報器の普及啓発及び実態調査等の実施
     平成20年6月に広報区長の協力により、設置数及び取付けの可否等を訪問調査により実施する旨の住民周知を行った。その後、クラブ員が各家庭へ訪問して意識啓発・普及促進を図ると共に実態調査を実施した。希望者に対しては、住宅用火災警報器の共同購入を実施するほか、設置が困難な高齢者宅等については、地域で結成されている自主防災組織の協力により、取付け作業を無償で行った。この取組により、平成20年9月頃には170個の住宅用火災警報器が設置済となった。
  • 3 取付確認調査及び台帳の作成
     住宅用火災警報器を購入した家庭には、取付状況等の確認調査を行い、「住宅用火災警報器 個別台帳」を作成することで地域における設置状況を管理している。
  • 4 訪問時における高齢者安否確認等の実施
     全戸に渡る訪問調査・意識啓発により住民同士がコミュニケーションを図るほか、独居高齢者の安否確認や災害時要援護者等の把握を行うことで、火災・災害等の有事に備えるように努めている。

住宅用火災警報器の必要性を学習

住宅用火災警報器設置についての実態調査

地震体験も説明会と同時に開催

住宅用火災警報器の仕組みを学習

消防職員による説明

住宅用火災警報器 個別台帳

高齢者宅に設置する婦人防火クラブ員

苦労した点

  • 1 全戸訪問を実施するにあたっての住民周知
     今回、訪問調査を行った広報区は、160以上の戸数であるため、効率的な周知方法に苦労した。
     幸いにも、広報区長の了解を得られることができたため、回覧による住民周知を実施してもらい、特に大きなトラブルもなく事業を実施できた。
  • 2 住宅用火災警報器設置協力の呼びかけ
     クラブ員が女性のみであり、日用大工の経験が少なく道具の使用に不慣れな点も多かったため、地域の自主防災組織へ設置についての協力依頼を行った。

特徴

  • 1 「隣近所の和をもって、自分たちの地域は自分たちで守る」という精神のもと、全戸訪問により、住宅用火災警報器設置の普及促進等を図るほか、設置状況等の実態把握を行い、台帳管理を行っている。そのため、未設置の住宅が多い区域の把握が可能なため、隣近所で啓発し合う等の対策が取りやすい。
  • 2 隣近所の住人同士がコミュニケーションを図り情報交換を行っているため、平常時から独居高齢者の安否確認や災害時要援護者等の把握ができており、火災・災害等の有事に備える共助の体制が地域で確立されている。

団体概要

地域の会員(伊予市湊町地区に居住する婦人)によって構成されており、火災予防の普及・徹底及び火災の初期消火の適正を図ることを目的に昭和57年10月9日に結成された。

実施期間

平成18年~