第12回防災まちづくり大賞(平成19年度)

【総務大臣賞】地元ラジオ局の役割と取り組み~防災ハンドブックの発行を続けて~

総務大臣賞(防災情報部門)
地元ラジオ局の役割と取り組み
~防災ハンドブックの発行を続けて~

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株式会社エフエム徳島(徳島県徳島市)

事例の概要

■経緯

 FMラジオ放送局であるエフエム徳島は平成4年4月1日、徳島県を放送対象地域として放送を開始。音楽・報道・娯楽・教養・広告・行政広報等を24時間放送している。また、番組、CM企画制作及びイベントの実施なども手がけている。
 近い将来必ずやってくるといわれている南海地震は、30年以内に50%の確率で発生が予測されており、南海、東南海地震として同時発生する可能性が高く、津波と家屋倒壊による大きな被害が予想されている。また、地震だけでなく、台風、集中豪雨、高潮、土砂災害など、私たちは常に自然災害の危険にさらされている。

■内容

① 「防災ハンドブック」の発行
 エフエム徳島では、これらの自然災害から県民の生命、財産を守る手助けをするために、平成15年からこれまでに4回「防災ハンドブック」(1回10万部、計40万部)を発行し、無料配布してきた。初回は、「地震が起こった時に何をしなければならないか」をテーマに、地震や津波が起こるしくみ、避難や備えなどを2色刷で作成した。一回限定の予定で「保存版」として発行し、小中学校ほか県民に配付したところ、予想外の反響に、多くの人がこのような冊子を求めていたことを実感した。
 このことから、次の年度にも発行することを決定し、地震だけでなく台風や土砂災害なども含めて内容を練り直し、名称も「防災ハンドブック」と改め、見やすいA5版カラー刷に一新し、日頃からの備え、特に自主防災組織の重要性を訴えた。その後、2006年度版では、徳島県が実施した地震動被害想定調査の結果など、国土交通省、県、医師会ほか関係機関等の協力を得て新しい資料やデータも追加した。今回の2007年度版は、新たにペットのための防災対策、県内各地の自主防災組織や企業の取組の紹介、防災訓練や応急手当の方法をわかりやすく説明している。
 これらは、市町村の窓口や県立防災センターほか県内の各施設で県民に広く配布されているが、自主防災組織や町内会の人たちが、地元での研修会に使いたいとの問い合わせも多く、県内各地からわざわざ訪れてくれるようにもなった。このように、従来のリスナー世代以外の人たちとのかかわりができたことを非常にうれしく思うと同時に、この「防災ハンドブック」を通して、各地域でますます防災活動が広がっていくことを期待している。また、その他にも学校の授業や各種講演会、セミナーなどで活用されるなど、毎年好評を得ていることから、今後も9月1日「防災の日」に発行を続けていく予定である。

② 防災情報の発信
 今年9月1日、災害時の地域情報発信を目的に「防災ネットワーク」事業を立ち上げた。その第1弾として、県内公立小中学校を対象に「学校安否情報」の放送サービスをスタートさせた。これは、県内の教育委員会との連携で、情報ネットワークを構築し、震度4以上の地震が発生した場合に小中学校の被害状況を即座に災害放送として広報するもので、保護者にいち早く子供たちの情報を伝えて安心してもらうとともに、保護者から各学校への問い合わせが殺到するのを回避させるというねらいもある。
 また、県内で暮らす約6千人の外国人向けに災害情報提供も始めることとした。今まで行っていた日本語での災害情報にあわせて、英語、中国語による災害情報を事前録音し、災害に備えている。これは、災害時に情報が伝わりにくいとされる外国人に、速やかに情報を提供するとともに、災害時の不安な時に、ラジオから流れる母国語を耳にすることで安心感を得られるという効果も期待している。今後、他の言語の追加も検討していく予定である。
 その他、番組の中でも防災に関する問いかけや、防災情報の提供などを随時行っている。県域放送のラジオ局の強みを活かして、これからも情報発信を通じて被害軽減に少しでも役立つような活動を展開していく。

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防災ハンドブック 4部作

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防災ハンドブック関連

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美馬市 防災講習会

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防災講習会

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神山町 地域座談会

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JFN賞2004 奨励賞

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防災講習会

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防災ネットワーク 外国語による災害放送

苦労した点

 初めて発行する際には、無料配布するための協賛広告を集めるのに苦労した。見本もない中、企画案だけで必要性や有効性を説明して理解を得るのは困難だった。そのため、当初の予定を1か月あまりも過ぎての発行となった。しかし、発行してみると好評で、今では多くの企業が毎年快く承諾してくれている。
 また、内容についても、より充実させていくために新しいデータや資料を収集している。一方で、初めて見る人のために基礎的な内容は欠かせない。読者との距離感を測りながらハンドブックをよりよいものにしていくため、取捨選択しながら内容を決定するのに苦労している。今後も読者の期待に応えていくための努力を続けていく。

特徴

 「防災ハンドブック」の発行を継続することで、広く県民全体に防災に関する知識が普及し、防災意識が高まっている。日頃から家庭でできる備えや、地域の自主防災組織の活動、学校や企業における防災訓練などの取組を紹介することで、他の地域や団体における自主的な活動へと広がりを見せている。
 また、取材や協力依頼を通じて、行政、教育委員会、防災関係機関、医療機関等とのつながりができた。このことは、近い将来発生が危惧されている南海地震、台風、風水害、土砂災害などが発生した際の迅速な情報提供につながる重要なことである。県民が安心して暮らせるために、そして、いざという時に少しでも被害を最小限に抑えるため、情報を発信していく。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 吉村 秀實(ジャーナリスト))

 東海地震が「明日起きても不思議はない」と言われて30年が経過し、近年は東海、東南海、南海地震の3つの巨大地震が同時に発生することも懸念されている。徳島県は、地震、台風、集中豪雨、土砂災害など、様々な自然災害の脅威にさらされていることから「エフエム徳島」は、平成15年に「地震防災ハンドブック」を製作、県民に無料で10万部を配布した。以来、これまでに4回にわたり改訂を重ね、地震だけでなく台風や土砂災害なども含めて内容を練り直し、日頃からの備えや自主防災組織の重要性などを県民に訴えてきた。最新版の「防災ハンドブック」には、応急手当の分かりやすい方法やペットのための防災対策まで加わり、徳島県の「防災ハンドブック」として県民にはなかなか好評のようだ。今後は、都市型の集中豪雨や災害医療など、内容を充実して行く方針と聞く。この種のハンドブックは、一旦作成したらそのまま放置される例が多いが、常に進化する災害形態に対し、見直し、改訂が必要である。
 また、同局は、徳島県内の公立の小中学校を対象に平成19年9月1日より「学校安否情報」の放送サービスをスタートさせた。これは、県内各市町村の教育委員会と連携して、情報ネットワークを構築。震度4以上の地震が発生した場合に、各小中学校の被災情報(けが人や校舎の損壊の有無など)を、各教委を通じて収集、同局が即座に災害放送として広報するという画期的な試みである。また、災害時要援護者と言われる県内在住の外国人への情報提供として、英語と中国語による災害放送サービスも開始、「地震です」「海岸から離れてください」といった安全行動も呼びかけるという。このサービスは、同局が災害時の地域情報の発信基地を目指す「防災ネットワーク事業」の第一弾というが、全国に展開する地域FM局が是非踏襲して欲しい事業である。

団体概要

株式会社エフエム徳島
創立/平成3年6月24日
コールサイン/JOMV-FM
周波数/80.7MHz
放送開始/平成4年4月1日:本放送開始

実施期間

平成15年~