第6回防災まちづくり大賞(平成13年度)

【消防庁長官賞】「週刊地震新聞」の発行をはじめとする地震防災啓発への取組

【消防庁長官賞】「週刊地震新聞」の発行をはじめとする地震防災啓発への取組

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株式会社 静岡新聞社(静岡県)

事例の概要

東海地震の切迫性が一段と進んだ可能 性があるとの指摘がある中、静岡新聞社は「週刊地 震新聞」を平成13年2月から毎週発行している。ま た、地震防災シリーズ「2001年東海地震は今」等を 企画し、東海地震を「迎え撃つ」「生き延びる」を キーワードに県民の地震対策に対する啓発活動に取 り組んでいる。
これらの企画は、地方新聞の持つ地域 住民への密着性、影響度、継続性を活かし、県民の 防災意識を一層高揚するとともに、紙面を工夫し、 地域的な被害予測や県民の役に立つ情報提供に努め ている。
本県では、県民が一丸となって地震に よる被害の軽減に取り組むことを目指し、県の地震 対策の新たな行動計画である「地震対策アクション プログラム2001」を策定している。さらに、住宅の 耐震化を促進するプロジェクト「TOUKAIー0」など 様々な施策を展開し、地震対策の推進と県民の防災 の充実を図っている。
静岡新聞社の「週刊地震新聞」の発行 に関する継続的な活動は、本県における前述のよう な取り組みにも合致するもので、「減災」に向け、 県民の防災意識の高揚に大きく貢献している。

  • 1.「週刊地震新聞」について
    • (1) 発行日
      毎週月曜日(原則)
    • (2) 体裁
      抜き取りの保存版として本紙センター見開き4ペー ジを使用(7月以降は4ページと2ページを併用)。広 告はなく、全面に内容を掲載し、カラーでまとめて いる。
    • (3) 内容
      • 1 フロント面
        1週間の地震活動状況をコンピュータグラフィクス で立体的に掲載。
      • 2 完全見開きの中面2ページ
        役立つ防災対策の最新情報や東海地震の現状などを 掲載。具体的には、阪神・淡路大震災など国内の被 災地を訪ね、被災者の生死をわけたのは一体何なの か、被災者がどう生き延びたのか等を取材。また、 「静岡県第3次地震被害想定結果」、「東海地震の 現状に対する地震予知連絡会委員へのアンケート」 、「東海地震のシナリオ分析」、「災害情報もIT革 新」、「車で避難は危険」、「生死分けるとっさの 行動」、「地震に強い家は」、「家具固定で命を守 る」等を掲載。
      • 3 終面
        静岡県が作成した被害想定に基づき、全市町村の津 波被害などのハザードマップと死傷者、倒壊家屋な どの被害予測データを掲載。
  • 2.「2001年東海地震は今」について
    東海地震対策についての最新の情報や 各種安全対策等に関し、情報を入手次第、体系的に 別途朝刊にて掲載。

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新聞(Vol,1)表面

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新聞(Vol,1)裏面

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新聞(Vol,1)中面

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新聞(Vol,2)表面

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新聞(Vol,2)裏面

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新聞(Vol,2)中面

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新聞(Vol,30)表面

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新聞(Vol,30)裏面

苦労・成功のポイント

「週刊地震新聞」の発行という報道手 法により、行政、専門家等の取材など、冷静かつ客 観的に伝えるという姿勢を貫いている。また、平易 な内容・丁寧な解説などにより、地域防災に対する 県民の理解・関心を深めている。特に、ビジュアル でわかりやすい紙面づくりが心がけられており、地 域住民ばかりではなく、企業、教育現場でも活用さ れている。
読者から前向きな質問や取り上げてほしいテーマに ついての要望が多数あり、反響は非常に大きい。

成果・展望

静岡新聞社のホームページヘのアクセ ス数は1日平均400~500件あり、中高生から「文化 祭で地震をテーマに取り上げたいのでアドバイスを してほしい」との要望も多数ある。平成13年4月に は読者の要望で東海地震に関する講演会を開催し、 その後も建築団体等と講演会を共催するなど広がり も見せている。また、高校の防災担当教輸の研修資 料としても活用されるなど、各方面から永続的な発 行が望まれている。

委員のコメント(室崎委員)

静岡新聞社は、事前の震災前報道を重 視するという立場から、県民の防災意識啓発に持続 的かつ意欲的に取り組んでいる。「東海地震は今」 等の地震防災に関わるシリーズを継続的に展開して いることに、その使命感をもった報道姿勢が示され ている。
平成13年1月から毎週月曜日に発行している「週刊 地震新聞」は、防災まちづくりの担い手としての県 民の防災意識を高める、先進的な取組として高く評 価することができる。その評価される点は、見開き の全面カラーで広告なしという思い切った紙面の構 成で、読者に強いインパクトを与えるものとなって いる。それ以上に評価しなければならないのは、そ の内容である。地震の危険性や防災の取組のあり方 を、身近に感じられるように、また正しく理解され るように、図版や解説などに工夫を凝らしている。 地震に強い県民を無数に育てるだけの力をもった、 優れた内容となっている。
数多くの県民から連日の反応があり、かつ学校など で積極的に資料として活用されていることをみても 、この「週刊地震新聞」が、防災まちづくりとその 担い手の啓発に果たしている役割は非常に大きい。

団体概要

日刊紙の発行(静岡県内の世帯普及率 60%、発行部数73万部。全国地方紙で首位。SBSテレ ビ、同ラジオと一体。地震に強い製作センターをも つ。)

実施期間

平成13年から