第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

【消防科学総合センター理事長賞】少年消防クラブ員による地域に密着した防火啓発活動

消防科学総合センター理事長賞(一般部門)
少年消防クラブ員による地域に密着した防火啓発活動

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牟田小学校少年消防クラブ
(熊本県上天草市)

事例の概要

■経緯

 幼少年時期に防火の大切さを理解してもらおうと、昭和57年6月5日に4年生以上を対象に本クラブが結成されて以来27年間、毎年行われている消防出初式に参加するなど地域に密着した防火啓発活動を続けている。
 昭和63年からは、防火マラソン大会や、クラブ員みずからが育てた花をたずさえ、一人暮らし高齢者宅を訪問、防火のお手紙を朗読し、お年寄りに喜ばれている。
 また、平成元年10月には学校教育の一環として終わるのではなく、地域の火災予防啓発をクラブ員から発信できればと思い、「梯子乗り」に挑戦、地域の住民が多く参集する運動会で初披露し、平成2年からは毎年消防出初式や各種のイベント等に参加している。

■内容

  • 1. 年間活動計画に基づき計画的に活動を実施している。
  • 2. 各行事への積極的参加
     結成以来、毎年消防出初式に参加し、大人の消防団員に交じって通常点検を披露、平成2年からは、「梯子乗り」にも挑戦、一本遠見、枕邯たん等10種目の演技を習得し継続して披露している。
  • 3. 火災予防意識の啓発活動
     少年消防クラブとして地域住民へ防火の意識を高めてもらうために数々のイベントに参加し啓発活動を行っている。
     一人暮らしの高齢者家庭訪問では、地区の消防団員や消防職員と一緒に訪問し「火の元に注意して、健康で長生きして下さい」という内容の防火のお手紙を朗読し、併せてクラブ員が丹精込めて育てたサクラソウを手渡している。お年寄りに安らぎを与えるとともに火気や電気器具の取扱いに注意をしてもらうなど、火災予防の効果が十分にあるものとなっている。毎年年末には火の用心の襷をかけて走る「防火マラソン大会」や「防火もちつき大会」も行っている。
     特に、毎年続けている「梯子乗り」は消防出初式や地区の運動会等で披露することで地区全体の防火の意識を高めている。

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出初式におけるクラブ員の入場

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襷を掛けて防火マラソン大会

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防火大会

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天草地域幼少年婦人防火大会

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梯子乗り(一本遠見)

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サクラソウを贈るクラブ員

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出初式にて梯子乗り

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一人暮らし高齢者家庭訪問(防火のお手紙の朗読)

苦労した点

 「梯子乗り」の練習は、放課後や休日等を利用して行わなければならないため、短時間で効果のある訓練を毎回行わなければならない。また、全校生徒33人の小規模校であるためクラブ員を確保するため、3年生以上の全児童がクラブ員として活動しているが、3年生や女子児童にとっては体力的に難しさを感じた。
 「梯子乗り」の練習は、運動会前の暑い時期や出初式に合わせて冬の寒い時期に行うため、クラブ員の体調管理が非常に難しかった。
 一人暮らしの高齢者方への花のプレゼントは、児童がサクラソウの苗を夏から育てたものであり、水やりなどの世話が大変であった。

特徴

 小学生が「梯子乗り」を行なうことは、奇抜な取り組みであり技術的にも難しいものがあるが、これを20年間の長期に亘り継続し消防出初式等に披露することによって地域の防火啓発に大きく貢献している。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 吉村 秀實(ジャーナリスト))

 熊本県の天草地方一帯は、200を超える島々が点在する風光明媚な場所だが、1972年(昭和47年)7月6日、1時間雨量が130ミリ、1日雨量が447ミリという梅雨末期の集中豪雨に見舞われた。天草地方は島の急峻な土地に人家がへばりつくように立つ地形だったために、上天草一帯では土石流災害が各所で発生、死者・不明者が116人に上った。牟田小学校の前身である姫戸町立牟田分校も、校舎ごと土石流にのまれ、全校児童64人のうち、約半数の児童が土砂とともに流されたが、教師や地元消防団員たちの手で、全員が救助されるという災害体験を持つ小学校である。この「7.6天草大水害」後、牟田小学校は現在の場所へ移転したが、もともと防災意識の高い土地柄でもあり、1982年(昭和57年)6月、4年生以上を対象に少年消防クラブが結成された。はじめは、防火マラソン大会に参加したり、高齢者宅を訪問して防火を呼びかけたりしていたが、1990年(平成2年)には大人顔負けの「梯子乗り」に挑戦、毎年の消防出初式や各種のイベントにも参加し、今では小学生たちの梯子乗りは地元の一番の人気を集めている。近年の少子化の影響もあり、牟田小学校は全校児童が24人という小規模校となったため、クラブの存続自体が難しく、現在は3年生以上の全児童がクラブ員として活動している。「梯子乗り」には危険を伴うために、梯子の高さを約3メートルと低くし、梯子の下にはマットを敷くなど、地元の消防署員が熱心に指導に当たっている。練習は放課後や休日の短時間で行わなければならないことや、出初式前の寒い時期などに行うために、児童の体調管理にも気を使わなければならないと言う。実際に練習風景を見学させて頂いたが、手製の法被に鉢巻き姿の梯子乗り、さらには木遣の声に合わせての整然とした行進は大人顔負けである。また、児童たちの礼儀の正しさにも感心させられた。牟田小学校の少年消防クラブの活動は、将来にわたって地域の防火、防災の啓発に必ず役に立つことだろう。

団体概要

上天草市立牟田小学校少年消防クラブ
クラブ員数
3年生6名、4年生5名、5年生3名、6年生2名、
(男子9名、女子7名、計16名)
(平成20年4月現在)

実施期間

 昭和57年~