第15回防災まちづくり大賞(平成22年度)

【消防庁長官賞】この町を守るのは誰だ!!

消防庁長官賞(一般部門)
この町を守るのは誰だ!!

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西尾久四丁目町会区民レスキュー隊
(東京都荒川区)

事例の概要

■経緯

 西尾久四丁目町会区域は、建築年数の経過した家が多く、震災時にはお年寄りの孤立や家屋倒壊及び家具等の下敷きによる救助事象の発生、さらに火災が発生した場合には、延焼拡大危険が高い地域である。
 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の映像で見る被災地の様子に、「場所が違えば自分たちも同じではないか。」との思いが大きくなり、地域の安全と備えのため平成7年3月15日荒川区内で最初の区民レスキュー隊4隊(隊員112名)を結成し、以後15年以上にわたり地域の防火防災力向上に取り組んでいる。

■内容

  • 1. 平成7年3月から平成12年3月までは月1回、平成12年4月から現在に至るまでは、年4回(3月、6月、9月、12月)の訓練を15年以上実施している。
  • 2. 「この町を守るのは誰だ!!レスキュー隊のある町~愛と勇気で守ります!~」をモットーに、自らの手で迅速的確な救出・救護が出来るよう隣保共助体制の確保を最重点としており、レスキュー隊についても地域を4つに分けて指定し、即応体制を確立している。
  • 3. 地震発生後、1時間以内に倒壊建物からけが人の救出を行うために、取り壊し建物を実際に使った訓練を実施するなど、常に自分たちで出来ることを考えだし、それを実行する知恵と活動力を身につけている。資機材は、エンジンカッター、鉄筋カッター、電動のこぎり、バールのみでなく、コンクリートを破砕するドリル、油圧ジャッキ(20t)、空気呼吸器、フォークリフトなど活動に必要な資機材を自前で調達している。
  • 4. 町会を4つのブロックに分け、ブロックごとにレスキュー隊1隊を編成し、消火(大型消火器、D級可搬ポンプ)、救助、応急救護、搬送の4つを、月ごとにローテーションさせている。このことにより、自分たちの地域特性等を考慮した訓練を自分達で考えて実施し、全隊の技術向上につながっている。
  • 5. 平成20年11月12日荒川区防災センターにおいて、荒川区長の要請により隊長が埼玉県三郷市長以下80名の町会長等に対し、レスキュー隊の活動内容等を講演した。
  • 6. レスキュー隊の定期訓練や荒川区総合震災訓練時の訓練披露及び春・秋の火災予防運動期間中と年末に夜警を実施していることを町会員が良く理解していることで、防火防災意識が非常に高く、平成19年9月にごみが焼損したその他火災の発生以来、約3年間火災発生はゼロである。

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救出訓練

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救出訓練(資機材の準備)

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救助訓練

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防災倉庫

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可搬式ポンプ

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防災倉庫内の様子

苦労した点

 隊員の高齢化が進み、今後も活動を継続していくためにも、後継者として若年層の隊員確保に苦慮している。発足当時の平成7年は112名であったが、現在は44名に減少しているものの、町会役員が積極的に声をかけている。

特徴

  • 1. 消火、救助、救護、搬送の訓練を継続して定期的に実施し、さらに取り壊し建物を使った実践的な訓練など、自分達で創意工夫して実施していることから、区民レスキュー隊としての活動能力は、荒川区内ではトップクラスである。
     また、フォークリフト等の操作もできる隊員がいることから、地元
  • 2. 阪神・淡路大震災の発災直後に発足し、常に隣保共助体制と救助・救護能力の充実強化を重要視しており、15年以上にわたって区民レスキュー隊の活動力を向上させ続けている。
  • 3. 平成7年の発隊以来、NHK・民放で活動を放映されるとともに、静岡市立病院、新宿区防災会議等から講演の依頼があり、地方からも注目されている。
  • 4. 資機材については、訓練等を通して「何が必要なのか。何があれば救出できるのか。」を自分たちで考え、自前で調達している。大規模災害時は、公的機関の活動に頼るのではなく、共助の取り組みを実践している。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 澤井 安勇((財)日本防炎協会理事長))

 西尾久四丁目町会区民レスキュー隊は、15年前の阪神・淡路大震災の折、被災地の惨状を伝える映像を「場所が違えば自分達も同じ」という思いで観ていた荒川区西尾久四丁目町内会の人々が、震災から2ヶ月後に結成した災害時における救出・救護を目的とした隣保共助的な自主防災組織である。町内を4地区に分けた4隊から成り、最初の5年間は月1回、この10年ほどは年4回の定期訓練、区の総合震災訓練時の訓練披露などを欠かさず続けているそうだが、町内会事務所の近所にある隊の資機材庫には、エンジンカッター、鉄筋カッター、電動のこぎり、トランシーバーなどかなりの重装備がギッシリ貯蔵されていた。荒川区では、本レスキュー隊の結成以後、全区に57組織93隊の区民レスキュー隊を結成し、資機材の装備などに助成しているという。
 阪神・淡路大震災時には、多くの人々が倒壊した建物の下敷きになったが、隣近所の人々による救出・救援活動により多くの人命が救助されたこと、その一方で、電動のこぎりなど十分な資機材が住民の手元になかったために救える命が失われたことが鮮明な記憶として残っている。一定の装備を有する住民レスキュー組織の意義は大きいが、持続性の維持が難しいともいわれている。その意味で、「家族の安否を確認した後、レスキュー隊の救出・救援活動に参加する」ことをモットーとする、家族愛・隣人愛に支えられた無理のない活動方針は、15年も続く西尾久四丁目町会区民レスキュー隊の持続可能性の原点になっているように思える。年々高齢化も進み隊員の目減りも課題となっているという。今回の受賞が町内会の住民にもう一度レスキュー隊の活動意義を考え直してもらう契機になることを期待したい。

団体概要

西尾久四丁目町会
構成人員
918世帯(住民 2,987名)
レスキュー隊 隊長以下44名

実施期間

 平成7年3月~