第12回防災まちづくり大賞(平成19年度)

【消防科学総合センター理事長賞】地域住民自らによる「防災資機材の計画整備」

消防科学総合センター理事長賞(一般部門)
地域住民自らによる「防災資機材の計画整備」

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戸畑区市民防災会連合会(福岡県北九州市)

事例の概要

 戸畑区では、自治会を母体として昭和50年11月に「防火協会」を結成し、防火知識の普及高揚などの広報活動を中心とした防火活動を行っていた。
 しかし、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、日頃からのコミュニティー活動が活発な地域ほど被害が軽減されたこと、またこうした大震災時には行政からの支援には時間がかかり、特に人命救助にあたっては地域住民による早期の自主防災活動がいかに大切かが指摘されたことから、平成9年7月に「防火協会」を「市民防災会」と改名すると同時に防火・防災活動を一体的に推進する組織として再スタートした。
 組織の活動資金として、当初は北九州市からの補助金のみで運営していたが、
① 補助金のみに頼った従来の自主防災活動を見直す必要性。
② 住民へ「自分たちのまちは、自分たちで守る」という防災意識、責任感、連帯意識づけを図る必要がある。(行政依存からの脱却と、真の自主防災を実現する必要性)
③ 災害が発生した時に、住民自らが初期防災活動を行う必要があり、そのためには防災資機材の整備が不可欠である。
 等の考えから、平成13年度より市民防災会費(自主防災活動資金)として、一世帯年間50円を徴収することとなり、以後、中・長期計画による防災資機材の整備を行うとともに、「向こう三軒両隣り、みんなで気配り助け合い」を合言葉に、防災体制の強化に励んでいる。

■主な活動

  • 1 防災資機材等設置状況
  • 2 広報紙「市民防災会だより」の全世帯配布
    (8月、1月の年2回発行)
  • 3 住民参加型災害図上訓練(DIG)研修の実施
    (年度中に最低5地区以上実施予定)
  • 4 「住宅防火モデル地区」指定行事の実施
  • 5 住宅用火災警報器の設置普及推進(広報活動)
  • 6 災害時要援護者対策事業の推進(訓練の実施)
  • 7 福祉施設等との「防災相互応援協定」の締結と防災訓練の実施
  • 8 文化財防火思想の普及高揚(訓練等の実施)
  • 9 自主防災活動リーダー研修会等への積極参加
  • 10 地区内の空き家調査の実施と消防署への情報提供
  • 11 各種防災行事の実施(防災パネル展、地域パトロール、講習会の実施等)

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バケツリレーによる消火訓練

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防火パレードの様子

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心肺蘇生法を行っている住民

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近隣の身体障害者施設の入所者を支援し、避難した市民たち

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拍子木を叩きながら行進する子供

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打合せ中の市民防災会の役員たち

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地震発生(想定)後に公園へ避難してきた住民の様子

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県立戸畑工業高校の生徒が製作した拍子木を贈呈する様子

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消火器取扱い訓練の様子

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出発式の様子

苦労した点

  • ・ 戸畑区内で17地区ある市民防災会それぞれの地区特性により、防災に対する温度差があり、また町内会費の徴収方法等にも違いがあったことから、市民防災会会費(一世帯年間50円)の導入時にあたり、住民のコンセンサスを得るまでは大変困難であった。
    (各地域での集会等で自主防災の必要性、会費導入の必要性を説明。説明会実施回数延60回)
  • ・ 近年、市民防災会(町内会)の会員数が減少傾向にある。(高齢化、新興マンションの増加等)

特徴

  • ・ 防災会費制の導入による防災活動用資機材等の自主整備。
  • ・ 各地区の防災倉庫の整備。
  • ・ 戸畑区内の災害時要援護者施設(高齢者社会福祉施設)と地区市民防災会との「防災相互応援協定」の締結と計画的な訓練の実施。
  • ・ 「災害時要援護者支援事業」や各種防災事業の実施にあたり、各地区にある多種多様な組織の代表窓口として市民防災会が担当し、各事業のイニシアチブを執っている。
  • ・ 「災害時緊急連絡網」の機能を完備し、台風や大雨時の行政側からの情報受け皿の窓口として、その機能を充分に発揮している。
  • ・ 戸畑区の防災訓練として、災害時要援護者支援訓練を行政と合同で実施している。
  • ・ 災害図上訓練(DIG研修)の実施。(平成19年度は2時間~図上訓練、1時間~炊き出し訓練、2時間~わが街点検(消防署との合同による地域防災街歩き)の5時間コースを予定)

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 三浦 勉((財)消防科学総合センター常務理事))

 まちづくりにはわけがある。この北九州市戸畑区住民の取組は阪神・淡路大震災の衝撃から始まった。大震災では自分たちで助け合わないと命を守れない、被害を減らせないという驚き。戸畑区市民防災会連合会は木下会長を中心に立ち上がった。それまでの行政補助金に頼る広報中心の活動を改め、自分たちで会費を集め、防災資機材をそろえ、訓練する実践の防災自治会に変身したのである。
 戸畑区およそ2万の防災会加入全世帯から年間50円の防災会費を納めてもらい、ヘルメット、組立式リヤカー、担架、救助工具セット等を各防災会(自治会)に整備した。これら装備は地域の市民センターに配備され、しかも日頃から廊下など目立つ所に置かれて頻繁に使われている。市民センターは、教育から福祉まで種々の住民向けサービスを提供し、子供からお年寄りまで多数が出入りして朝からにぎやかな声が聞こえる。市民防災会はそのまま地区自治会であり、市民センターを拠点に活動している。防災活動が直ちに地域づくり、地域おこしなのである。市民防災会は災害時要援護者をもらさず把握することを目指し、また災害時要援護者施設と協定を結び、救助訓練等を熱心に行っている。
 ところで、戸畑区は北九州市の中央部に位置する。どうして都会の真ん中でこのような活動が成立するのか。戸畑は古くは静かな半農半漁の村であったが1901年の官営八幡製鉄所の操業によるたくさんの「新住民」の流入を受け止めた歴史がある。村の絆を守りつつ新しい時代の開放性を獲得したのである。戸畑のまとまりのあるコンパクトな地形もまた、人々の地域へのゆるぎない愛着を育てたであろう。今戸畑の人々は、市民防災会、消防、まちづくり推進を担う区役所が三位一体となって防災に取り組んでいる。歴史と風土と人の物語、まちづくりにはわけがある。

団体概要

・ 団体名
戸畑区市民防災会連合会
・ 代表者
会長 木下 憲定
(電話 事務局 093-861-0119)
・ 組 織
17地区市民防災会により構成
(179協議会(町内会)、1454自治区(組))
・ 会員数
19,949世帯(平成19年8月1日現在)

実施期間

平成9年~