第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

自治会による広域的かつ総合的な防災への取組み

優良事例(一般部門)

15自治会による広域的かつ総合的な防災への取組み

六郷地区自治会連合会
(東京消防庁)

事例の概要

■経緯

 六郷地区自治会連合会は、東京消防庁蒲田消防署管内の12自治会と矢口消防署管内の3自治会の計15自治会で構成されている。平成元年に「わがまち大田六郷地区推進委員会」を立ち上げ、平成21年に「地域力推進六郷委員会」と改称し、毎月会議を行っている。ここには各自治会長、防災関係役員、小・中学校長、消防機関等が参画し、市民消火隊訓練成果発表会の企画、各自治会の防災訓練の日程や内容等を調整するなど、地域全体の取組みが一定の水準に保たれるよう配慮している。

■内容

  • 1. 自治会毎に市民消火隊が編成されており、毎年秋、自治会連合会主催の「六郷自治会連合会市民消火隊訓練成果発表会」において、区長を始め多くの市民の前で全隊が日頃の訓練成果を発表している。今年で15回目を迎え、昨年はD級・C級可搬ポンプ操法に計23隊が出場した。
  • 2. 上記の訓練指導は地元消防分団が行っており、これ以外に毎月1回、各自治会において連携訓練が実施されている(昨年の指導状況99回、延べ264名)。
  • 3. これまで集合型防火防災訓練は毎年実施されてきたが、3年前からまちなかに被災建物等を設定した発災対応型防火防災訓練が取り入れられ、この訓練を採用する自治会が年々増加している。
     また、集合型訓練も幅広い年代が参加しやすいよう工夫している(昨年の参加者6,900人)。
  • 4. 文化財防火デーや危険物安全週間に実施される消防演習に、市民消火隊も参加している。事業所が近隣住民や福祉施設利用者を招待するなど、地域への配慮もなされている。
  • 5. 当該自治会連合会の地域には、多くの災害時要援護者施設がある。これまでに、それぞれの施設と当該施設がある自治会との間で応援協定が4件締結されている。
     今年9月、新たに1施設と応援協定を締結し、今後も2施設と地元自治会及び近隣事業所との間で応援協定の締結が予定されている。
  • 6. 平成4年から独自に災害時要援護者名簿を作成し、以降定期的に見直しを行っている。

市民消火隊発表会①

市民消火隊発表会②

市民消火隊訓練

消防団との連携による市民消火隊訓練

防災訓練(家族参加)

防災訓練(災害時要援護者参加)

発災対応型訓練

関西ペイント㈱総合訓練

苦労した点

  • 1. 市民消火隊訓練成果発表会は、市民消火隊員が自ら企画立案している。自身の仕事の時間外に行わねばならず、関係機関との調整に苦慮した。特に消防署は蒲田消防署及び矢口消防署に分かれ、消防団についても同様である。
  • 2. 市民消火隊員は必ずしも固定化されておらず、毎年メンバーが入れ替わり、年齢・性別もまちまちであるため、可搬ポンプ操作要領を一から覚えてもらう必要があった。
  • 3. 六郷地区は、大田区の中でも多くの住民が居住しており、単身者が多い地域でもある。このため、住民に参加してもらいやすい訓練の方法、防災に係る各種情報の周知の仕方など今後も創意工夫していかなければならない。

特徴

  • 1. 15の全ての自治会において市民消火隊が編成されており、毎月、地元消防団と連携して実際に放水訓練を行うなど、市民消火隊と消防団を中心として地域の団結が図られていること。
  • 2. 自治会ごとの防火防災訓練の際にも市民消火隊によるポンプ操法は披露されるが、自治会連合会が「発表会」を主催し、全ての市民消火隊が一堂に会して住民に披露する場を設けていること。さらに、それが15周年を迎えようとしていること。
  • 3. 上記の発表会を通じて、各々の市民消火隊が技能の向上を図ろうという意欲が高まること。
  • 4. 六つの郷がまとまって村を形成したといわれる地名のとおり、古くからの地域の絆が防災を通じて現在でも引き継がれていること。

団体概要

構成人員:六郷地区自治会連合会の会員世帯数 20,876世帯
 六郷地区自治会連合会は、蒲田消防署管内の12町会・自治会及び矢口消防署管内の3町会で構成され、地域ぐるみで自主防災力の向上に努め、広範な活動を行っている自治会連合会である。

実施期間

平成9年11月~