第4回防災まちづくり大賞(平成11年度)

【消防庁長官賞】市内全自主防災組織に救助隊を結成

【消防庁長官賞】市内全自主防災組織に救助隊を結成

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焼津市(静岡県)

事例の概要

 阪神・淡路大震災の教訓から、突然に大地震が発生した場合には多くの建物が倒壊し、建物の中に住民が取り残されることが予想され、これを救出するためには、地域における住民相互による救助救出活動は欠かせない。
 そこで、「自分の命は自分で守る」、「自分達の地域は自分達で守る」の原則のもと、消防、警察及び自衛隊による組織的な救助活動が開始される前に、住民自ら救助・救出にあたる任務を持った救助隊を、平成7年12月、市内全自主防災組織内に編成した(自主防救助隊の結成)。
 各救助隊は、ロープ結索法や救助資機材の取り扱いなどの訓練を定期的に行っており、その指導には消防署救助隊や消防団員があたっている。そして、各救助隊は、それぞれの地域における防災訓練等において、習得した技術・知識を他の自主防災会員に指導伝達し、いざという時に誰もが慌てず落ち着いて救助・救出活動ができるよう努めている。
 市としては、バール・スコップ・ジャッキ等の救助救出用の資機材を年次計画で貸与すると共に、地域の実情にあわせ、要望を聞いて、資機材の整備に努めている。
 なお、当市における自主防災組織は、昭和51年度から昭和53年度の3年間で、全市内において自治会組織を母体として結成され、組織率は100%となっている。
 しかしながら、年数の経過とともに活動面での停滞も見られ、対策に苦慮しているが、この救助隊の結成が自主防災活動の原点を見直すきっかけとなり、組織の活性化につながることを強く期待している。

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自主防救助隊

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倒壊家屋救出訓練

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ロープ結索訓練

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ロープ結索訓練

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起震車

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ロープ結索応用訓練

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救助資機材取扱訓練

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救助資機材取扱訓練

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救助資機材取扱訓練

苦労・成功のポイント

 市役所サイドからの呼びかけにより発足となった自主防救助隊であるが、各自主防災組織が、自助努力により自分達の地域を守るということを理解し、率先して創設に努めたため発足に成功した。

成果・展望

 市内の自主防災組織内に救助隊が設置されたこと自体、その意義は大きい。これに加え、救助隊員を通じて一般の自主防災会員に広く救助・救出のための技術・知識が伝えられているため、市全体の救助・救出態勢は格段に向上したと考えられ、大規模災害時における効果ははかりしれない。今後も行政として多角的な観点から、救助・救出方法を指導していくことにより、自主防救助隊の活動能力の一層の向上を図り、全市民への発災後の人命救助活動の重要性を啓発していきたい。

実施期間

 平成7年から継続中

事業費

 年間8,000千円~8,500千円(焼津市自主防救助隊資機材整備費)
 これまでの総額は33,000千円

団体の概要

  • 焼津市
    • 世帯数 36,078世帯
    • 人 口 117,928人(平成11年4月1日現在)
    • 自主防救助隊(市内23自主防)412人