第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

D級可搬ポンプによる消火活動ほか、地域の女性防災リーダー活動

優良事例
(住宅防火部門)

D級可搬ポンプによる消火活動ほか、
地域の女性防災リーダー活動

京島南レディース消火隊 (東京都墨田区)

事例の概要

■経緯

 地域の繋がりが希薄になる中、道路狭隘、木造密集で震災等の危険度が極めて高い環境から、「昼夜を問わず地域にいる女性達で町を守ろう」という意識の高まりにより、平成10年8月に京島南町会の女性によりD級可搬ポンプによる消火活動を中心としたチームを結成した。その後、長年にわたり地域の女性防火リーダーとして、各種防災訓練等に積極的に参加しており、地域の安全なまちづくりに取り組む姿勢は、地域住民からの信頼も厚く、地域の防火防災に大きく貢献している。

■内容

  • 1. 活動期間と内容
     平成10年から、毎月2回、小学校校庭においてD級可搬ポンプ等を使用した消火訓練を実施し、終了後には地域住民の防火防災意識の向上を図るため、防火パトロールを実施するなど、長期間にわたり地域に密着した組織として自主的に活動している。
  • 2. 活動の目的
     毎年実施される京島南町会新年防災訓練始式、地域が主催する各種防災訓練及び墨田区総合防災訓練に参加し、消火技術を披露するなど、有事の際に地域住民と活動できるようコミュニケーションを図るとともに、「自分達でわが街を守る」をスローガンに地域住民に防火防災の重要性をアピールしている。
  • 3. 災害活動の実績
     近隣町会等で火災が発生するとD級可搬ポンプを曳行し、消防隊の支援活動や住民の避難誘導等を行う他、炊き出し等を実施し、地元住民から絶大な信頼を受けている。
  • 4. 時代背景を踏まえた防災活動
    • ① 地域と密着し中学生の防災教育や若い女性による防災組織を育てようと、後輩指導に力を入れるとともに、地域の高齢者の集会に参加し、防災講話の実施や援護を必要とする高齢者の相談に乗って、精神的な補助も行うなど、地道な活動を実施している。
    • ② 震災時の総合危険度が高い地域であることを深く認識し、行政の施策に積極的に協力している。また、住宅用火災警報器の設置推進について、町会の共同購入や区役所で実施している住宅用火災警報器の給付・助成事業による設置について地道な働きかけを行っている。
  • 5. 消防署との係わりと訓練審査会等での実績
     向島消防署恒例の「女性防災コンテスト」にチームとして参加し毎年上位入賞を果している他、防災演技披露部門でもD級可搬ポンプ操法をはじめ、震災時の初動活動要領を披露し地域防災の要として活動している。

■成果

  • 1. 平成11年に東京消防出初式に参加した。(都民演技)
  • 2. 向島消防署主催の震災時の基本的な活動(発見・通報・初期消火・救出救護等)を審査する「女性防災コンテスト」では、数回にわたり優勝、準優勝を果たしている。
  • 3. 平成16年には「東京都総合防災訓練」に参加した。
  • 4. 地域との深い係りと女性のみの防災活動チームであることが高く評価され、多くのテレビ局により紹介された。主な放映は「100年のグレイテスト」(平成16年、テレビ東京)「東京火災24時」(平成18年、テレビ朝日)、「ふるさと一番」(平成19年、NHK)、「出没!アド街ック天国」(平成19年、テレビ朝日)等である。
  • 5. 結成当時は区民消火隊のD級可搬ポンプを借りて訓練を行っていたが、墨田区から活動を認められ、平成13年にポンプが同区から配置となった。

東京都総合防災訓練

京島南町会新年防災訓練始式

町会の防災訓練での初期消火指導

女性防災コンテスト

女性防災コンテスト

苦労した点

  • 1. 発隊に際し、女性のみのチームでポンプ操作が可能か、また体力的に無理はないか、町会、家族の理解を得るために熱意をもって説得した。
  • 2. 訓練が休日・夜間となるため、家族に理解と協力の必要性を説き、挫折しないことを宣言し、10年が経過した。
  • 3. 現在は若い女性隊員の確保に苦慮している。

特徴

  • 1. 女性のみで防火防災に係る実践的な活動をするチームである。
  • 2. 10年以上にわたり、訓練・活動を継続させ、さらに地域の若い女性の指導育成をする
  • 3. 消火活動だけでなく、「地域防災のためにできることは何か」を常に考え、地域に定着した平常時の活動を積極的に行うことにより地域防災の向上に寄与している。

団体概要

結成当時は23名、現在は7名

実施期間

平成10年8月~