第11回防災まちづくり大賞(平成18年度)

【消防庁長官賞】住宅用火災警報器の設置促進(寄贈及び無償の設置と点検)

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東京都電気工事工業組合
豊島地区本部本郷支部(東京都文京区)

事例の概要

■経緯

 日頃から町会や地域の団体に、防火防災情報を提供している東京都電気工事工業組合豊島地区本部本郷支部が、東京消防庁及び本郷消防署の住宅防火安全対策推進事業に共感し、平成17年から毎年本郷消防署管内の町会(地震危険度が高く、一人暮らし高齢者の多い地域)に対して住宅用火災警報器を寄贈・設置・維持・管理している。

■内容

【先駆性】
 平成17年10月住宅用火災警報器の寄贈を申し出、無償設置を実施したことで、管内の町会から住宅用火災警報器設置の気運が高まり、全世帯で購入設置する町会が続出する等、地域への大きな刺激となって、住宅用火災警報器設置促進のきっかけを作った功労は多大である。

【適時性】
 地震時における地域危険度調査結果で火災危険度ランクが高い町会の高齢者等災害時要援護者に寄贈し、無償で設置及び点検を実施した。平成18年も、昨年に引き続き高齢一人暮らし世帯に寄贈し、無償で設置した。(17年32世帯、18年20世帯)

【連携】
 同支部は、日頃から本郷消防署と連絡、連携を密にして防火防災情報の把握に努めており、又、同支部員の個々の電気工事業者自身も地域の一員として、町会長等と情報の共有化を図っている。又、住宅用火災警報器の設置工事に際しては、地元電気事業者が行い、町会と消防署員も立ち会って、連携した形で推進している。

【自主性】
 同支部員の電気工事業者の存する本郷消防署管内の建物状況等防火防災環境の現状に鑑み、高齢者等災害時要援護者の安全は、地域の我々が守るという自主的な地域防災貢献意欲から、毎年継続しているもので、設置した住宅用火災警報器は、設置工事した地元電気工事業者が責任を持って、毎年点検を実施し、作動状況を確認して維持管理しており、平成17年設置のものについても平成18年の秋の火災予防運動期間中に実施した。

【地域特性の反映】
 本郷消防署管内は、平成14年東京都発表の「地震時の地域危険度測定調査結果」でも火災をはじめとした危険度が高い地域が多く存し、併せて、平成18年発表の「地震時の出火危険度測定調査結果」でも、区及び本郷消防署管内が都内で最も高い危険度を示していることから、特に住宅防火安全対策の充実が求められている。そのような情報を、本郷消防署等から把握すると共に、地元町会からの声にも耳も傾け、地域の住宅防火安全対策に貢献しようと推進しているものである。

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テスト用の紐を確認

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寄贈の住宅用火災警報器の設置状況

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設置した住宅用火災警報器の確認

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設置した住宅用火災警報器の説明をする支部員

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設置及び報道機関の取材状況

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設置作業をする支部員

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設置位置をメジャーで確認

苦労した点

  • 1.住宅用火災警報器は限られた設置個数であることから、設置世帯の選定については、町会役員等と何度も協議を重ね、対象者の状況を慎重に把握しながら設置世帯以外の町会員への説明も考慮し、選定した。
  • 2.住宅用火災警報器の設置工事にあたり、今後継続した点検も行うことから、設置する側と設置される側の信頼関係確保のため、本郷支部独自で「取り付けに関する留意点」を作成した。それを確認しながら慎重に町会役員と消防職員の立会いも行ったことから、設置世帯、町会、消防との日時調整に大いに労力を要した。

特徴

  • 1.設置工事だけでなく、維持管理も行うものであり、寄贈、設置、維持点検とトータルな形で、地域の住宅防火安全への貢献がなされた。
  • 2.毎年継続して寄贈、設置維持されていることから、地域住民を大いに刺激し、住宅用火災警報器設置の気運が管内全体に高まってきている。
  • 3.本取組みを今後も継続して行っていく予定である。

団体概要

 東京都電気工事工業組合は、電気工事業の中小企業者の業務改善と発展を図るための必要な事業を行い、これらの公正な経済活動の機会を確保することを目的として、22の地区本部から構成された組合で豊島地区本部本郷支部もその一つとして活動しており39の電気工事業者で支部を構成している。

実施期間

平成17年10月~