第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

みんなで取組む地域の防災~災害に強いまちづくりに向けて~

優良事例
(一般部門)

みんなで取組む地域の防災
~災害に強いまちづくりに向けて~

阿倍野区地域振興会・阿倍野区役所・阿倍野消防署・(財)大阪市消防振興協会
(大阪府大阪市)

事例の概要

■経緯

 大阪市阿倍野区は上町断層が貫く上町台地の南に位置し、直下型地震が発生すれば甚大な被害が予想される地域である。区の情勢は5.99km2、人口約10万7千人、世帯数約4万8千で地域を10の連合町会(153町会)に区分している。10の連合町会には、天王寺駅周辺の繁華街、再開発地域の高層マンション群、古くからの街並みなどそれぞれに特徴がある。また、比較的割合が多い住宅街は老朽化した木造住宅の密集度も高く全国でも高位にランクされている。この様な情勢から、地域振興会、区役所等において大阪市地域防災計画及び阿倍野区地域防災計画を基本に、より細やかな防災計画が必要であるとの共通認識を持つに至った。
 平成18年度に試験的に防災に関するワークショップを各連合町会で実施したところ、区民の方々から充実と継続の意見が出され、平成19年度には、10の連合町会ごとに概ね3回ずつ防災に関するワークショップを開催し、地域の特性に応じた地域防災計画及び防災ハンドブックを連合町会ごとに作成するに至った。平成20年度も引き続き、10の連合町会ごとに防災に関するワークショップを開催し、平成19年度に成果物として作成した地域防災計画を活用し、各連合町会の自主防災組織作りを進めている。あわせて、従来型の救助用資機材の操作訓練を中心とした防災訓練だけではなく、まちなか防災訓練のような、より実践に近い形の防災訓練を実施していく。

■内容

  • 1 各連合町会ごとのワークショップの開催(延28回、約750名参加)
     防災意識の醸成及び防災計画に必要な防災マップを作成するため各連合町会で概ね3回実施した。ワークショップを実施する際には、より実践的なものとなるよう防災士資格を有した者を中心にしたチームでDIGの手法を取り入れ、詳細な地域情報を反映させた防災マップ(地域防災計画及び防災ハンドブックに掲載)の原案を作成した。
  • 2 防災ハンドブックの作成(各連合町会ごとに10種類)
     ワークショップで得た地域情報と防災専門員が現地調査して得た資料をマッチングさせた防災ハンドブックを作成し、阿倍野区内の全世帯に配布した。
  • 3 地域防災計画の作成(各連合町会ごとに10種類)
     ワークショップ及び現地調査で得た物的地域情報、人的地域情報等を反映させ、各連合の特徴に応じた地域防災計画を作成し、各連合町会の自主防災組織の中心となる方々(町会役員・地域防災リーダー等)に配布した。
  • 4 防災データマップの作成(デジタルデータで作成)
     ワークショップで得た地域情報と防災専門員が現地調査して得た資料を市販地図データに入力し、(財)消防科学総合センターから提供していただいた消防防災GISにマッチングさせ、災害時や訓練時に区役所、消防署、警察署が活用できるものとした。

登録していただいている災害時協力事務所

訓練に励む中学生(バケツリレーによる消火訓練)

訓練に励む地域防災リーダー(可搬式ポンプ操作訓練)

苦労した点

 阿倍野区は人口10万人を超え、天王寺駅というターミナルもあり、いわば中堅都市機能を持つ区である。しかしながら、再開発に伴う人口流入による近所づきあいの希薄化等大都市特有の問題を抱えており、10の連合町会すべてで防災に関するワークショップを開催するのに大変苦労した。また、ワークショップには、町会長、地域防災リーダー、女性部長といった方々の参加をいただいたが、再開発途上の地域、昭和の時代に区画整理された地域、昔ながらの下町の風情を残している地域というような地域が区内の至る所にあり、10の連合町会というより、153の町会という単位でそれぞれに特徴があり、そういった面でも苦労した。各連合町会の地域特性や意見を防災計画に集約する際には、区としてある程度統一したものを作成するため、計画の基準を示し細部は住民自らが記入してもらう形式とすることで解消はできたものと考える。
 高齢者や障害者といった要援護者の個人情報をどの程度防災ハンドブックに反映するか、それぞれの地域ごとに意見が分かれ、調整には苦労した。そのため、すべてのデータは区役所が保有管理し、必要に応じて、消防署や警察署等の公的機関、一般区民用とフレキシブルに抽出、印刷できる仕組みとした。

特徴

  • 1 連合町会ごとの地域防災計画及び防災ハンドブックの作成(10種類作成)
     大阪市として初めて、連合町会ごとに地域防災計画と防災ハンドブックを作成した。従来のものに比べ、よりきめ細かく地域事情を反映したものを作成することができた。
  • 2 ワークショップであげられた意見をもとに、2つの制度を創設
    • (1)災害時青少年協力員制度 ~平成20年8月末現在 20名
       区内に居住している青少年を対象して登録者を募集する制度。(平時の活動としては、地域の防災訓練や研修会に参加することにより、技能や知識を習熟し、災害時の地域の自主防災組織の補助や将来の防災力となるよう育成している。)
    • (2)災害時協力事業所・店舗制度 ~平成20年8月末現在80事業所、店舗
       地域の防災力の一翼を担っていただける区内に所在する事業所や店舗を対象として登録を募集する制度。(平時には防災に関する研修会に参加してもらい、災害時には各々の事業所や店舗ができる形で地域に貢献する。)
  • 3 区内の青少年(特に中学生)を対象とした防災訓練・研修の実施
     平成20年2月から実施している(平成20年8月末現在で延3回実施)。区内に所在する市立中学校と協力し、授業の一環として防災訓練や研修を取り入れ、常日頃、区内にいる中学生に防災に関する訓練や研修をすることにより、災害時の地域の自主防災組織の補助や将来の防災力となるよう育成している。
  • 4 避難用マグネットの作成及び配布
     ワークショップで検討した結果、金塚連合町会(特に高層マンション群が主となっている地域)においては、安否確認を効率的に実施できるよう避難済みマグネットを作成し、ほぼ全世帯にあたる2,200世帯に配布した。

団体概要

大阪市阿倍野区
区域面積 5.99km2
人口 107,354
世帯数 47,795
連合町会数 10
町会数 153
(平成17年国勢調査より)

実施期間

平成19年6月~