第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

ふくい防災マップコンテスト

優良事例(一般部門)
ふくい防災マップコンテスト

福井県防災士会・福井高専地域連携テクノセンター
(福井県)

事例の内容

 国土交通省・県・県内市町などの行う防災行政においては、ハード面の整備状況が一定の評価を得ている。2004年に発災した福井豪雨以降、県内防災行政のソフト面でも、それぞれの防災計画や自主防災組織の整備や拡充が図られているところである。
 一方で、自主防災組織を結成しても具体的活動について明確な方針を立てることのできないものも多く見られる。特に、福井豪雨から5年が経過して、国の施策や県・市町の防災行政は継続されている一方で、地域住民の防災意識には、著しい温度差が見られることは否めない。
 国の施策としてのハザードマップの拡充・整備が図られているところであるが、地域住民にとっては、近接性や馴染みのない資料ともいわれる。そこで、ハザードマップが“マクロ”的とすれば、地域住民にとって等身大に近い“ミクロ”的と考えられる「防災マップ」を県下の自治会・自主防災組織などの諸団体を中心に呼びかけ、①既存の防災マップの発掘作業、②新規に作成されるものの大きく2つを想定しながら、防災の日(9月1日)の時期に防災マップコンテストを開催することにした。
 作品数は16点に達し、内11点について簡単なプレゼンテーションを含めて本審査が行われ、優秀作品3点他、各賞を選定した。
 その後、公共施設での展示、イベントでの公開、報告会、さらに報告書の作成などを通じて、その作成される過程でのノウハウや、さらに地域住民への広報・周知活動を含めた利・活用の状況を公開し、伝えることで、地域の防災力向上に寄与するものと考えられる。

プレゼンテーションの様子

防災まちづくり賞の授与

審査委員による審査会議

プレゼンテーションの様子

苦労した点

  • 1. ソフト面での防災に関する機関を横断した組織について県内で前例がなかったことから、国や県、市の行政ならびに大学等を直接訪問するところからニーズ調査を実施した。結果として、国(国土交通省)、県防災担当部局、市防災担当部局等の行政をはじめ、大学・高専の教職員が参画する、県内ではじめての実行組織を構成することができた。
  • 2. 全国対象ではなく、県内の町内会や自主防災組織に参加を呼びかけたことにより、作品数の確保ができるかが危惧された。上記のような実行組織を組むことによって、自主防災組織や公民館等の各ルートから広報周知・情報伝達などを行うことができた。
  • 3. 県内初の試みであり、審査項目や基準などについては全国規模のものや他の諸団体などによるものを参考にしつつも、今後の方向性を左右するものであり数回にわたり協議を重ねた。
  • 4. コンテスト形式でも、プレゼンテーションを伴うことの是非について、その実施方法などについては、コンテスト近くまで協議を重ねた。
  • 5. 経費面の確保について苦労したが、学術機関等との連携により実施が容易となった。

特徴

  • 1. 全国的なものではなくて、参加団体が地元であり、コンテスト参加者もよく知る地域であり、地域住民間のコミュニケーションを促進させ、今後の地域の防災力の向上に寄与するものと考えられる。
  • 2. 従前に作成されたもののほかに、今回のチラシを見て作成した団体もいくつかあった。
  • 3. 一部では受賞を契機に地域への報告を通じて改めて防災意識の確認を図ったり、他団体のものに刺激されて新規にあるいは新バージョンの作成の方向としたり、新たな展開が見られるところもある。

団体概要

主催
福井県防災士会
共催
日本防災士会、福井高専地域連携テクノセンター

※荒井克彦(福井大学教授)
※安井 譲(福井工業大学教授)
※吉田雅穂(福井工業高等専門学校准教授)
 玉置文志~2009.03.31.(国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所 副所長)
 南後和寛2009.04.01.~ (同職)
 橋本知弥(福井県安全環境部危機対策・防災課主事)
 林 正憲~2009.03.31.(福井市危機対策・国民保護グループ副課長)
※吉田 晃2009.04.01.~ (福井市防災センター所長)
 黒田和彦(K’sプランニング)
※森 範行(国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所長)
※上田広輝(福井県安全環境部危機対策・防災課長)
※荒木俊幸(福井県防災士会会長)
※山田幹雄(福井高専地域連携テクノセンター長)

※審査委員

実施期間

 平成21年3月~