第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

【日本防火・危機管理促進協会理事長賞】住宅用防災機器等の設置・維持促進活動

日本防火・危機管理促進協会理事長賞(住宅防火部門)
住宅用防災機器等の設置・維持促進活動

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上越市南本町3丁目町内会自主防災組織(新潟県上越市)

事例の概要

■経緯及び内容

 上越市南本町3丁目(450世帯)は昔からの古い街並みと雁木通りに面した店舗併用住宅の多い連たん地域であり、又、冬場は豪雪地帯のため火災が発生した場合、棟続きで延焼拡大する可能性が高い地域である。
 過去に発生した延焼火災は、昭和47年金物屋(住宅併用)火災 (2棟全焼)、昭和54年住宅火災(3棟全焼)、平成2年飲食店(住宅併用)火災(7棟全焼)、平成10年理容店(住宅併用)火災(5棟全焼)、平成14年住宅火災(4棟全焼)、平成16年住宅火災(4棟全半焼)となっている。
 これら過去の痛ましい火災を教訓に平成8年3月に自主防災組織を立ち上げ、平成10年には町内に防火水槽を設置、年2回の町内防火祈願式を始め、毎年必ず自主防災訓練を町内あげて実施している。
 平成18年6月1日より住宅用火災警報器が全国一斉に義務化となったことを受けて、平成21年10月に町内会の新規事業として、「過去の災害を教訓に、再び災害を引き起こさない為の町民の意識改革と上越市南部地域全体の防災再意識改革の先導的役割を果たす」を目的として、「町内全戸に住宅用火災警報器を設置すること」を提案、可決され町内会として全力で取り組んできた。町内会の電気店の協力を得て共同購入の実施をはじめ、町内会だより等により設置呼び掛けを載せる等、継続的な活動を続け、平成22年11月には町内会として地元消防団と協力し、「設置済シール」を作成配布、街の話題として地元新聞にも大きく取り上げられ、上越市内における住宅用火災警報器設置推進町内会の模範となった。
 本年6月に既存住宅の猶予期聞が終了し、現在の町内会の住宅用火災警報器の普及率は94%と非常に高い普及率となっている。
 他にも町内会として、住民の為の住民による行事を永年に渡り毎年実施しており、町内会が一致団結し非常に纏まっている町内会である。
 平成16年の火災発生後は火災が発生しておらず、平成21年に上越市防災委員会より「5年間無火災表彰」を受けた。過去の辛い教訓が生かされたことにより、住民一人一人の防火意識が非常に高まっている。

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避難訓練(高齢者をリヤカーで搬送)

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消火訓練(水バケツリレー)

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町内会防犯・防災パトロール

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町内会で作成した「設置済シール」(平成22年11月作成)

苦労した点

 「古い木造家屋、商店が多く、棟続き、火事が起きれば延焼するのは仕方ない・・・」というような、諦め意識が、自主防災組織が結成されるまであったようであるが、地元消防団との連携により毎年行われる防火祈願式、自主防災訓練等を通し、少しずつ「火災から町内を守る!延焼を自らの手で防ぐ!そのためには火災を起こさないことが重要である」という町民一人一人の気付きから、防災意識が徐々に定着していった。

特徴

 世帯数450軒、自主防災訓練を始め、町内防犯・防災巡回や年2回の防火祈願式の他、年聞を通し行われる町内会行事が非常にたくさんあり、世代を超えて受け継がれている。そんな素晴らしい町民の団結心の中で、平成21年から町内会の事業として「住宅用火災警報器全戸設置」を掲げ、継続的な設置呼び掛けと設置調査が行われ、昨年11月に「設置済シール」を町内会として地元消防団と協力し作成、配布したことにより7月現在の普及率は94%となったもの。
地域新聞に大きく取り上げられたことにより、他の町内会の模範になるとともに、当組合において管内全世帯(82,000軒)対する「設置済シール」の作成に繋がるとともに、組合の普及率が向上した。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 野村 歡(元国際医療福祉大学大学院教授))

 本賞の対象となった上越市南本町3丁目町内会(450世帯、高齢者は約35%、そのうちの一人暮らしは6割強)は、新興住宅地や公営住宅等もあるが多くは古い街並みと雁木通りに面した店舗併用住宅の地域である。この町内を6ブロックに分けさらに区に分割組織化し、年2回の総会を開催しながら町民の連帯と情報共有を図っている。町内活動は雪対策を始めいくつかあるが、特にこの地域には100年前から消防分団が存在し消防団活動が盛んな地域でもあることから町内会館の前に火の見櫓を各種の消防機器・設備を常備するなど防火に対して非常に高い関心を持っている。
しかし、豪雪地帯であるために雁木通りによる棟続きの街並みは、これまで都合6回の延焼火災に見舞われている。このため平成2年の延焼火災をきっかけに拍子木による「火の用心」を毎夜町民が交替で始め、平成8年には自主防災組織を立ち上げ、防火水槽の設置、年2回の町内防火祈願式、さらに町内仮装大会で警報器の設置を呼びかけてきた。その成果もあって、平成16年以降は火災が発生しておらず、平成21年には上越市防災委員会から「5年間無火災表彰」を受けている。
そのような状況のなかで、平成21年10月に新規事業として町内全戸に住宅用火災警報器設置(当時の設置率が84%)を町内会で決め、町内会の4電気店の協力を得て全力で取り組んできた。現在の町内会の普及率は94%と非常に高い普及率となっている(未設置は賃貸住宅関連)。さらに平成22年11月には地元消防団と協力し「設置済シール」を作成配布(その後上越地域消防事務組合も設置済みシールを作成)、上越市内における住宅用火災警報器設置の模範となった。

団体概要

 町内会自主防災組織(450世帯)

実施期間

 平成21年1月~平成23年7月