第3回防災まちづくり大賞(平成10年度)

【消防科学総合センター理事長賞】防災訓練・防災啓発・広報

【消防科学総合センター理事長賞】防災訓練・防災啓発・広報

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厚生防災隊宮後第一分隊(三重県伊勢市)

事例の概要

 昭和54年に国庫補助金(大震火災対策施設整備費補助)として伊勢市宮後1丁目、厚生児童公園に100トン耐震性貯水槽及び可搬式ポンプ一式、収納庫等が整備された。また、公園整備の付帯条件として公園から300m以内の地域である一志町、本町、一之木、宮後の4地区に自主防災隊が組織された。その宮後防災隊の一分隊として当隊が組織された。現在、厚生防災隊宮後第一分隊は、宮後防災隊のみならず、伊勢市全体の中心的存在として自他とも認めるところである。
 当地区は、伊勢市の商業・経済の中心地区であり、すべての面で伊勢市のリードする気概をもつ住民意識が存し、当隊の設立時からこの組織が防災をキーワードとした町民のコミュニティと化した感がある。医師、商店主、サラリーマン等あらゆる層から参加しており、設立時から現在まで、ゆるぎない団結と活発な活動がなされている。
 活動内容としては、以下のとおりである。

  • 1. 定期訓練
     月1回、耐震性貯水槽又は地域内の防火井戸を水利として、揚放水訓練を実施している。揚放水訓練に止まらず、随時、応急救護訓練、さらに士気高揚に部隊訓練も実施している。この訓練には、必ず消防職員が立ち会い、指導助言を受けている。
  • 2. 夜警
     乾燥期、また、年末等には隊員による夜警を行い、町民の警火心を喚起している。
  • 3. 防災イベント
     年1回程度、町民を動員しての防災啓発のイベントを実施している。隊員の訓練展示、防災器具を活用したゲーム等を行い、町民との一体化を図っている。
  • 4. 防災カレンダー発行
     町内から企業広告を募り、「防災カレンダー」を毎年発行している。
  • 5. 消火栓ボックス及び消火器ボックスの設置
     町内からの募金及び隊員の廃品回収により資金を調達し、水利付近7ヶ所に消火栓ボックス及び消火器ボックスを設置した。

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公園での夜間訓練

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公園で夜間訓練に励む隊員達

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防火水槽(100トン)

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公園全景

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公園内に設置の可搬式ポンプ一式を収納した収納庫

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防火水槽(100トン)

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消火栓・消火器ボックス

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公園で夜間訓練に励む隊員達

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消火栓ホース格納箱・消火器配置図

成果・展望

 伊勢市には、当隊と設立形態を同じくする自主防災隊が他に6隊存するが、当隊の存在は突出している。阪神・淡路大震災により自主防災隊の存在意識が住民に再認識されるや、今までに増して活動は活発化している。町のリーダーシップをとる面々は、すべて隊員であり、活動の衰退、組織の弱体化は考えられぬ状況にあり、防災に止まらず町のオピニオンリーダーとしての側面をもつ隊に成長している。従って、当隊による防災啓発は、町民への計り知れぬ効果が期待される。
 また、初代隊長から度々の市への要請が引き金となり、市民参加の訓練の保険制度が導入された経緯もある。さらに、伊勢市では平成8年を初年度として平成12年までの5ヶ年の間に自主防災隊を28隊組織し、既存とあわせて合計52隊とし、組織率を82.9%とする整備計画を遂行中であるが、この設立時のモデルとして当隊の活動あるいは組織を紹介し、事業の円滑な推進に大いに役立っている。

苦労・成功のポイント

 自主防災組織の重要性は、先の阪神・淡路大震災において改めて証明されたところであるが、伊勢市厚生防災隊宮後第一分隊は昭和54年に設立以来積極的な活動を展開しており、伊勢市の防災関係機関の中心的な存在となっている。火災発生時においては、いち早く初期消火に努めるなど隊員23名が一糸乱れず整然と自主防災組織の役割を果たしている。また、自主防災組織の未結成地区等に「自らの町は自らが守る」、「防災の原点は地域から」という意識を強く訴えるとともに、郷土愛の精神が充実している。

事業年度

 昭和54年~継続中

事業費

 町会からの活動助成金、廃品回収、募金

団体の概要

 部長以下23名者