第12回防災まちづくり大賞(平成19年度)

【消防庁長官賞】FMラジオ多言語防災・生活情報番組「BOUSAI RADIO」の放送

消防庁長官賞(防災情報部門)
FMラジオ多言語防災・生活情報番組「BOUSAI RADIO」の放送

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財団法人とやま国際センター
(富山県富山市)

事例の概要

■経緯

 近年、日本では、阪神・淡路大震災を始め、集中豪雨や台風被害などの多くの災害が発生している。また、今年に入って、能登半島地震や新潟県中越沖地震など、富山県近隣地域においても大規模な地震等が起きている。
 このようななか、地域の国際化の進展に伴い、富山県内の在住外国人も年々増加し、県内の外国人登録者数は平成18年末現在で14,891人と、県人口の1.34%を占めている。こうした在住外国人には日本語による行政・生活情報を理解できない人も多く、こうした人々の多くは災害時等の緊急時には、要援護者となる可能性が大きい。また、さきに富山県が実施した在住外国人に対するアンケート調査においても、77%の人が安全に対する不安を感じており、特に地震等の災害に対する不安の声が最も多くなっている。
 このため、(財)とやま国際センターでは、地元FM局と協力し、外国語による防災・生活情報番組を制作・提供し、在住外国人の安全・安心の確保、ならびに地域住民との相互理解の促進など多文化共生の推進に努めている。

■内容

  • 1. 番組名及び放送日時等
    • 番 組 名:「BOUSAI RADIO」
    • 放送日時等:FMとやま(82.7 MHz)
    • ※ 放送エリアは富山県内全域
    • 毎週日曜日20:00~20:10、年間50回放送予定
    • 英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語で毎週1言語ずつ放送。
  • 2. 主な放送内容(平成19年度予定)
    • (防災情報)
      ・日本での防災対策の必要性
      ・集中豪雨に対する備えと対応
      ・ホテルで宿泊時の留意事項
      ・県内の避難訓練情報と参加の呼びかけ
      ・台風に対する備えと対応
      ・非常時持出品・備蓄品の準備
      ・降雪・凍結時の障害や対応
      ・防火、火事への対応
      ・地震に対する備え など
    • (生活関連情報等)
      ・地域のイベント・国際交流情報
      ・在留資格・外国人登録等情報
      ・生活ゴミの出し方などの生活情報
      ・各国の音楽等の紹介 など
  • 3. その他
     本事業は、地域における多文化共生の取組事例として、「多文化共生の推進に関する研究会報告書2007」(総務省、平成19年3月)において紹介されている。

■参考

 本番組の放送内容は、FMとやまホームページから視聴できる。
 http://www.fmtoyama.co.jp/contents/podcast.html
 ※ 平成19年3月の能登半島地震発生後、中国語へのアクセス件数が増加。
 「BOUSAI RADIO」以外の番組へのアクセス件数を大きく上回っているとのこと。

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番組に関する検討会議

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番組を担当する富山県国際交流員

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ラジオ局担当者との打ち合わせ

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ポルトガル語の収録風景

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台本を入念に確認する国際交流員

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中国語の収録背景

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本日の収録は無事終了

苦労した点

  • ・ 防災情報の収集
     国、県等作成のパンフレットを参考にしているが、インターネット等で常に新しい情報を収集するよう努めている。
  • ・ 放送原稿の作成、翻訳
     災害情報に関する放送原稿の作成に関して、「富山県多文化共生推進連絡会議」等関係機関との調整や翻訳のため、時間を要すること。(情報収集から原稿案作成、関係機関との調整、翻訳に1ヶ月程度を要する。)
  • ・ 生活情報、音楽情報の提供
     放送内容を魅力的なものにするために、在住外国人が必要としているイベント・生活関連情報、海外(本国)で人気のある音楽等を提供し、番組への関心を高めている。これらの選別に関して、番組のパーソナリティである国際交流員が苦労している。

特徴

  • ・ 災害が少ない地域出身の在住外国人には、防災意識を醸成することが必要であるため、まずは「防災(BOUSAI)」という言葉を覚えてもらえるよう、番組タイトルを「BOUSAI RADIO」と判りやすいものとしている。
  • ・ 番組内容として、防災情報のみでは堅苦しい放送になりがちなこと、また、地域行事や防災訓練等への在住外国人の参加を促進する観点から、地域のイベント情報や外国で人気の音楽情報などをあわせて提供し、聴取者が興味を抱きやすいよう工夫している。
  • ・ 被災時には、ラジオ放送からの情報が非常に重要となるため、平常時からラジオ放送からの情報入手を意識づけることは在住外国人にとって有効である。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 梅原 直(総務省消防庁予防課長))

 在住外国人は、地震等の災害時において、コミュニケーション等の問題から要援護者となる可能性が高い。そのため、日頃から地域の防災情報を提供していくことは重要である。
 富山県では、近年在住外国人が増加していることから、(財)とやま国際センターが中心となり、地元FM局の協力を得て、在住外国人向け防災情報の提供を平成18年10月から行っている。平成19年度においては、地震や火災、避難訓練など10の防災テーマを選び、5カ国語(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語)により毎週10分間の放送を行っている。また、過去の放送内容をインターネットで聴取できるようにもしている。
 この事例は、日本で生活するうえで知っておいて欲しい防災情報について、音楽や生活情報も盛り込みながら伝えていく先駆的な取組であり、在住外国人が日本で生活するうえでの不安を取り除き、災害発生時における適切な行動を選択するうえでも助けとなることが期待できる。さらには、災害時の情報収集手段としての地域FMの活用にも繋がることが期待される。
 平成19年度までの活動成果を生かし、地域在住外国人の要望も取り入れながら、来年度以降もこの取組が継続されることを期待したい。

団体概要

 (財)とやま国際センターは、経済交流、学術及び文化等の国際交流並びに国際協力を促進することにより活力ある地域経済社会の実現と広い国際的視野を有する人材の育成を図るとともに諸外国との相互理解と友好親善に資することを目的として、昭和59年に設立された公益法人である。
 平成2年1月には、自治大臣(現・総務大臣)より富山県における中核的国際交流団体である「地域国際化協会」としての認定を受け、国際交流推進の中核的機関として国際交流・協力、多文化共生事業を県、市町村並びに関係機関と連携して推進している。