第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

防火防災まちづくりのための意識啓発、広報、訓練等

優良事例
(一般部門)

防火防災まちづくりのための意識啓発、広報、訓練等

墨田区立鐘淵中学校
「鐘中少年少女火消隊」 (東京都墨田区)

事例の概要

■経緯

 震災時における被災者の救出、救護など地域住民の生命を守る担い手として、10年後の将来を見据え、地域の防火防災を担う次世代の青少年育成と地域の防火防災行動力の一層の向上を図るため、平成13年9月、当時の白鬚東第一自治会長、大場章氏が、中学生の火消し隊の設立を墨田区立鐘淵中学校に働きかけたことが発端となり、同年、男子学生16名による火消し隊を結成、「鐘中少年火消隊」と命名され、その後、女子生徒も入隊し「鐘中少年少女火消隊」と改名され、地域防災の担い手、さらに部活動文化部としても活動し、現在に至っている。

■内容

  • 1 平成13年から現在に至るまで、培った防火防災意識と行動力を後輩へ伝え、活動が7年間継続され、彼等の防火防災意識は当中学校全体に波及するに至っている。
  • 2 現在は中学校の部活動として位置づけられており、部員は自主的な体育文化活動として放課後や夏休み等を利用し、向島消防署員からポンプ操法や応急救護等の厳しい指導を受け、防火防災の精神と技術の向上に努めている。
  • 3 墨田区立鐘淵中学校は、震災時には被災者を臨時的に収容し救護する役割を担っており、彼らの継続的な災害活動力は、「若い力」として地域社会に貢献するものと期待されている。
  • 4 毎年、地域の防災訓練等に積極的に参加し、有事の際に地域住民と活動できるようコミュニケーションを図るとともに、地域住民に防火防災の重要性をアピールしている
  • 5 防災訓練は地元の白鬚地区防災訓練(500人規模)をはじめ、東京都合同総合防災訓練や墨田区総合防災訓練等に参加し演技を披露し、地域の防災行動力の高揚に努めている。
  • 6 区内中学校の総合防災教育の見本として、模範的な活動を実施している。
  • 7 テレビ、新聞にも多数報道され、中学生が防災行動力の要になれることを訴えている。
  • テレビ : テレビ東京「これが生死の分かれ道~自分でつくろう安心・安全~」H19.10.21等
  • 新 聞 : 毎日新聞「明日を託す-防災教育 現場支える中学生」H19.12.27
    毎日新聞「手動ポンプの消火を実演」H20.1.30等

■成果

  • 1 墨田区立鐘淵中学校は、白鬚東地区防災拠点内の北端にあり、震災時には被災者の臨時的収容、救護所としての役割が期待されており、さらに「鐘中少年少女火消隊」の活動が評価されたことから、地元町会からD級ポンプ一式が贈呈された。
  • 2 「鐘中少年少女火消隊」には、墨田区教育委員会等からも強い関心が寄せられ、区内の他の中学校においても同様な組織づくりが展開されるようになった。
  • 3 毎年実施している地域の行事「女性防災コンテスト」(参加者700人規模)では、今回初めて小学生及び他の中学校生徒と合同で防火防災行動力の演技披露を行い、「若い防災力」を地域住民にアピールした。

「女性防災コンテスト37」において演技披露
平成20年3月2日

「女性防災コンテスト34」において演技披露
平成17年3月6日

平成17年12月15日全校生徒に演技披露

毎日新聞より「手動ポンプの消火を実演」記事掲載 平成20年1月30日

墨田区発行の協冶(ガバナンス)ガイドブックに少年少女火消隊紹介 平成19年10月発行

苦労した点

  • 1 当初は、中学生の防火防災意識の向上と防災行動力の修得を目的とする活動について、保護者に承諾を得ることや教育課程に影響しない時間での活動に配意する点に苦慮した。
  • 2 卒業等による入れ替わりがある中で、防火防災の重要性を継続して後輩たちに伝承するため、部活動としての組織化と新入部員の確保に苦慮する時期があった。結果的に、活動実績が学校全体へ波及し、全生徒の防火防災意識及び防火防災行動力の向上の一助となっている。

特徴

  • 1 毎年、地域の防火防災訓練等に参加し、住民とともに活動したり、消火演技を披露することで、同世代及び地域住民に対し防火防災の重要性を広く働きかけている。
  • 2 7年間にわたり継続・伝承し活動していることは、墨田区等関係防災機関にも中学生による防災組織として認識され、墨田区内の他の中学校(吾妻第一中学校レンジャー隊)の模範組織となり、リーダー的な組織活動を実践している。

団体概要

16名(内訳:男子12名、女子4名)

実施期間

平成7年~