第16回防災まちづくり大賞(平成23年度)

箕面山中「緊急ポイント」設置

優良事例(一般部門)

箕面山中「緊急ポイント」設置

箕面山中「緊急ポイント」設置委員会
(大阪府箕面市)

事例の概要

■経緯

 古くから紅葉の名所として知られる明治の森箕面固定公園は大阪府下でも数少ない自然の宝庫として親しまれている。箕面の山パトロール隊は、平成15年8月にNPO法人として設立された「みのお山麓保全委員会」の活動諸事業のうち「箕面の山を美しくする」、「箕面の自然情報を広く提供していく」ことを担うものとして、平成16年8月29日、16名と1法人にて「箕面の山パトロール隊」が設立された。
 平成18年の市政施行50周年記念事業で箕面市消防本部から市の記念イベントとして『山火事防止元年』(緊急ポイント表示板の設置と併せて箕面の山パトロール隊と合同の山火事・警戒パトロールの実施)を提案されたが、当時は市の記念事業とはならなかった。しかし箕面の山パトロール隊、稲井事務局長(当時、パトロール隊 隊長)の尽力により、「箕面観光ボランティアガイドMV クラブ」と「みのお里山ふれあいプラットホーム」に呼びかけられ、緊急ポイント設置に向けた協力関係を確認し、『箕面山中「緊急ポイント設置委員会」』を設立し、母体である「みのお山麓保全委員会」をはじめ、国・府等を含む諸団体からの補助・助成金等の獲得を図ったものである。

■内容

  • 1. 「緊急ポイント」設置事業は展開できなかったが、実施可能なことから取り組むこととし、平成18年度から「消防」と「箕面の山パトロール隊」との合同による山火事防止・警戒合同パトロールを実施し、山の安全を守ることができた。
  • 2. 「緊急ポイント」設置に向けて箕面の山パトロール隊稲井氏が中心となり「箕面山中「緊急ポイント設置委員会」」を設立し、国、府、山麓保全委員会等への補助・助成金等の獲得に向け奔走され、平成20年度になり、数度の申請が認められて山麓保全委員会からの助成金が決定され、同年6月からその設置に取りかかることができ、翌年2月の最終杭打ちには、箕面市長が自ら杭打ちを行い完成したものである。総数58基設置。(平成23年4月現在、2基増設され60基)
  • 3. 「緊急ポイント」を箕面山中の遊歩道に設けることにより、急病人や事故などで消防機関等への通報が必要となった場合の目印として発生場所の特定が可能となり、関係機関が位置情報を共有することができる。
  • 4. 定期パトロール(箕面山中、全13コースの全てを月1回実施)を47名の隊員を中心に一般ボランティアの参加者と一緒にクリーンハイキングを実施し、不法投棄対策活動やハイカー等への煙草の投げ捨て防止の呼びかけや煙草の吸い殻の回収など山火事予防活動を行っている。
  • 5. 年に1度、定期パトロールでは回収しきれない大型ゴミの回収を、広く市民に呼びかけて実施しており、行政機関、民間企業からの協力を得て毎回300~400名(市民や箕面の山を愛する近隣の市・ 町在住の山歩き愛好家の皆さん)の参加がある。

苦労した点

  • 1. 箕面山中は、箕面国定公園内にあり、「緊急ポイント」設置には、林野庁、近畿中国森林管理局や大阪府への各種申請が複雑で、困難であった。
  • 2. 長期間の風雨に耐えうる看板材料の選定。
  • 3. 取付場所の決定(傾斜地や私有地への配慮)。
  • 4. 掲出が山中であるため、資材搬送・設置作業には、人力に頼るしかなかった。
  • 5. 設置場所の選定には、3団体による会議を何度も開催し、限られた緊急ポイントの設置が有効に なるよう、それぞれの情報を元に、入念な意見交換を行って設置場所を特定した。

特徴

  • 1. 山中では、ほとんどの場所で携帯電話の通話可能エリアが圏外となるため、通話可能圏に出たときに、ポイントナンバーを通報することにより、発生場所の特定が容易になり緊急時の対応がスムーズにできるものである。このため、緊急ポイント設置場所については、GPS測位計を使って、正確な緯度・経度を測定し、その情報をもとに地図に記載している。
      また、この設置は、消防署、消防団、警察署、国、大阪府、市商工観光課、NPOなどが情報を共有し、事故などが起きた場合に対応できる仕組みづくりにつなげている。
  • 2. いざという時の「山の安全・安心」に役立てるよう「箕面の森ハイキングマップ」(箕面市商工観光課作成)に「緊急ポイント」が掲載されている。奏功例として、このポイント設置により、たき火放置と思われる場所の情報が消防にもたらされたとともに、山林火災活動時の現在地確認や山中行方不明者等の捜索時にも大いに役に立っている。
  • 3. 箕面山中のドライブウェイを管理する池田土木事務所によるドライブウェイの距離ポイント(ガードレール設置)が進み、山中と道の両方から、いざと言うときの拠点や場所の特定がより容易になった。この設置事業は、山中にポイントが設置されたことにより推進されたものである。
  • 4. 今年度(平成23年)になり、この緊急ポイントの設置意義が高く評価され、緊急ポイント設置場所に、今までランダムに設置されていた「山の案内板」「各種啓発看板」等が同位置にセットで設置されることとなり現在、箕面の山パトロール隊他でその事業を進めている。(現在、緊急ポイント60基)

団体概要

「箕面山中「緊急ポイント設置委員会」(3 団体)」

  • 1. 箕面の山パトロール隊(47名)
    ・ クリーンハイキング、大掃除作戦、不法投棄防止活動
    ・ ハイカーへの煙草の投げ捨て防止の呼びかけや煙草の吸い殻の回収
  • 2. みのお里山ふれあいプラットフォーム(31名)
    ・ 里山林の手入れ、教学の森、六個山雑木伐採手入れ
    ・ 100分ハイキング
  • 3. 箕面観光ボランティアガイド「MVクラブ」(47名) ・ 観光案内、山請掃、ゴミ持ち帰り
    ・ 観光ボランティア

実施期間

平成18年4月~