第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

【日本防火・危機管理促進協会理事長賞】女性消防隊による区民に対する住宅防火意識の高揚

日本防火・危機管理促進協会理事長賞(住宅防火部門)
女性消防隊による区民に対する住宅防火意識の高揚

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広島市安佐南消防団事務局女性消防隊
(広島県広島市)

事例の概要

■経緯

 広島市安佐南消防団事務局女性消防隊は、平成8年10月に発足して以来、規律訓練や初期消火訓練を年に数回実施するほか、防火訪問や自主防災会で消火器の使用方法について指導を行ってきた。
 現在では、他の消防団との交流などを通じて情報交換を行い、他の消防団の活動を知ることで、意識改革を図り、業務の幅を広げている。
 そのような中、更に地域住民の防火・防災意識を高めていただくため安佐南消防団女性消防隊において「寸劇」を用いた広報活動を行うこととし、平成20年7月から「住宅用火災警報器」の設置促進を題材とする寸劇で、区民の防災意識の高揚に多大な貢献をしている。
 また、安佐南区での火災原因の1位がコンロによる火災であることに着目し、平成21年7月には、新たに「コンロ火災防止」の寸劇にも取り組んでいる。

■内容

  • 1. 女性消防隊が実施する寸劇とは
    「住宅用火災警報器」や「コンロによる火災の防止」等、火災予防に関する器具の取扱い方法などを劇にして、市民へ伝える広報活動のことである。
     配役、台本作成、小道具や音響などの作成・準備も家事と両立して女性消防隊が自ら行っている。
  • 2. 実績等
    • ①住宅用火災警報器設置促進の寸劇
       自主防災会連合会の研修会や各地区の生活避難場所運営訓練の場などにおいて平成21年9月末までに5回公演し、平成21年度末までに更に2回の公演を予定している。
    • ②コンロ火災防止の寸劇
       同じく、自主防災会等に対し1回公演し、平成21年度末までに更に2回の公演を予定している。

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住宅用火災警報器について説明

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自主防災組織に対して心肺蘇生を指導

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自主防災組織に対して消火器の使用方法を指導

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紙芝居で火遊び防止

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紙芝居で火遊び防止

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女性消防隊も男性と同様ホース巻きに精を出す

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寸劇で住宅用火災警報器の必要性を訴える

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寸劇で住宅用火災警報器の必要性を訴える

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寸劇でコンロ火災防止の必要性を訴える

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寸劇でコンロ火災防止の必要性を訴える

苦労した点

  • 1. 女性消防隊全員が主婦であり、かつ仕事をしながら消防団の活動を行っていることから、活動内容が増えることへの抵抗や不安があったこと。
  • 2. 寸劇等は観衆の前で公演するため、気持ちが躊躇する隊員が多く、なかなか役に入り込めなかったこと。
  • 3. 仕事や家庭の都合を合わせ全員そろって練習すること。

特徴

 寸劇を機に、やる気・根気・勇気をモットーに女性消防隊の活動が一気に走りだし、2作目となる「コンロ火災防止」の寸劇も始め、また平成21年度末までには救急関係の寸劇も追加する予定である。
 このように一度成果を出すと、その楽しさを知り全員で励まし合い協力し合うことで、それぞれが持ち味を出し大きな力となって活動している。活動後の反省と前向きな志で、困難を可能にする団結力・思いやりこそ、我が安佐南消防団事務局女性消防隊の持ち味である。
 これまでの広報とは違い、地元の身近な主婦が寸劇により、防火を訴えることで、見る側も非常に興味を示し高く評価されている。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 野村 歡(国際医療福祉大学大学院教授))

 本消防団(団員16名)は、平成8年10月に発足して以来、仕事や家庭を持ちながら防火・防災に対する強い使命感のもと、規律訓練や初期消火訓練を年数回実施する他、地元において防火訪問や自主防災会で消火器の使用方法について指導を行うなど、年100日を超える活動を行ってきた。また、他の消防団との交流を通じて情報交換を図ることで意識改革を図り業務の拡大を拡げている。
 このような状況の中で、本消防団は地域住民の防火・防災意識をさらに高めるために、平成20年7月に「住宅用火災警報器」の設置促進を題材とする「寸劇」を用いた広報活動を企画し、公演を行った。消防署職員と相談しながらストーリーを作り上げたこの寸劇は、公演時間約10分間で出演者は5名であるが、他の団員は小道具や音響準備、さらに舞台裏でスモークマシーンを操作するなど全員が協力し合って盛り上げてきた。これまで小学校や区民センターで開催される会議等の際に5回ほど公演して、のべ約1,000名の学童や市民が観ており、住宅用火災警報器に対する必要性・重要性を十分に理解してもらっている。平成21年度末にはあと2回予定している。これらの活動を通して団員の絆はより深くなってきたという。
 また、平成21年7月には、当該地区での火災原因の1位が「コンロによる火災」であることに着目し、この寸劇にも取り組み、これまでに都合3回行っている。
 今後は、「AED」の寸劇の企画、さらに、A3版の自作の紙芝居の制作、指人形劇などを企画している。

団体概要

広島市安佐南消防団事務局女性消防隊
(愛称:せせらぎ女性消防隊) 16名

実施期間

 平成8年10月~