第13回防災まちづくり大賞(平成20年度)

30年にわたって町会ぐるみで取り組んできた防災活動

優良事例
(一般部門)

30年にわたって町会ぐるみで取り組んできた防災活動

下馬二丁目北町会
(東京都世田谷区)

事例の概要

■活動概要

 世田谷区の東部に位置した都営下馬住宅を中心に、周辺住宅を含めた2381世帯により構成された町会として活動を行っている。活動当初から防災に対する意識啓発に取り組むとともに、自主防災組織を結成し、29年間にわたって月1回(年9回から10回程度)の防災訓練を世田谷消防署三宿出張所の指導のもとに継続して実施している。
 町会内では年間数件の孤独死が発生し、平常時から住民相互のふれあいやコミュニケーションを深めるための活動に力を入れるとともに、阪神・淡路大震災をはじめとする震災発生時の教訓から地域の助け合い活動にも取り組んでいる。
 従来の消火器による消火訓練なども継続させながら、個人のライフスタイルや社会状況の変化に応じて、自助、共助、公助の視点で内容や組織体制を見直し、町会ぐるみで防災活動に取り組んでいる。

■内容

  • ① 防災訓練19年度参加者延1,022名
    19年度訓練実施
    • 4月 初期消火訓練
    • 5月 身体防具訓練
    • 6月 応急救護(AEDの取り扱い)
    • 7月 連絡通報訓練
    • 8月 防災子供花火大会
    • 9月 応急救護(AEDの取り扱い)
    • 10月 初期消火訓練
    • 11月 避難訓練(三宿中学校)
    • 2月 始め式
    • 3月 応急救護訓練
  • ② 防災町民組織の設置
     平成17年からは防災町民組織を設置し、90名を防災協力委員として任命し、研修会などを実施している。
  • ③ 特別養護老人ホーム等への支援・協力
     近隣の特別養護老人ホーム(フレンズホーム)と、火災等発生時の自動緊急連絡体制などの応援について協定を締結するとともに、避難所運営訓練などにも参加、協力している。
  • ④ 災害用援護者支援の取り組み
     平成19年度には、区と要援護者支援事業に関する協定を締結し、区から要介護者や障害者の名簿の提供を受け、災害時の安否や身体状況の確認などの活動に備えて、平常時から訪問や声かけなどの活動を始めている。
  • ⑤ 防災・防犯パトロール
     安全で安心な街づくりを進めるために、毎月11日に午後9時から町内パトロールを実施している。

防災訓練 防災トイレの組み立て(参加者94名)

防災対策協力員に対する災害要援護者事業の報告

避難所運営訓練についての意見交換

「AED」取り扱い実習

災害時の応急手当 (三角巾の使い方)

苦労した点

 取り組みを始めた30年前は防災に対する意識が社会的に低く、町会内に防災組織を作ること自体を理解していただくことに苦労した。消防署の協力を得ながら、防災訓練を住民の参加が多い掃除の日の後に毎月実施し、参加を促すなど工夫した。
 長く続けていくなかで、訓練を繰り返し実施し、その技能を身につけさせていくとともに、新たなテーマを設定し、訓練のバリエーションにも配慮した。
 高齢者の孤独死が町会内で年間数件発生している。人のつながりがもちにくくなっているといわれる社会状況の変化に応じて、自助、共助、公助の視点から訓練を見直していくことが今後の課題となっている。

特徴

 29年前から町会として防災対策本部の組織をつくり、独自に避難場所などを設定し、まちぐるみの防災活動を継続して実施している。  消火などの基本的な訓練を継続して実施しつつ、阪神・淡路大震災をはじめとした震災の教訓を生かし、訓練内容や組織体制を見直し、効果的な防災活動を実施している。
 社会状況やライフスタイルの変化に応じて、災害時における要援護者支援の取り組みをはじめ、町内パトロールや町会行事などを通じて住民同士のコミュニケーションに配慮し、高齢者に対する健康や地域コミュニティーづくりなどにも活発に活動している。

団体概要

世帯数 2,381世帯
 町会組織として、町会長や防災部長などの町会役員、7つのブロック別に組織を設けている。
 平成17年からは90名の防災協力委員からなる防災町民組織を設置し、研修会などを実施している。

実施期間

昭和53年~