語り部の体験紹介コーナー

東日本大震災の被災者からのメッセージです。

小岩 孝子さん 女性

東日本大震災から学んだことを明日へ

小岩 孝子

東日本大震災から学んだことを明日へ


                    NPO法人FORYOU にこにこの家
                       理事長  小岩孝子


  2011年3・11 14:46 東日本大震災発生…この時から何かが変わったと感じています。


  雪がちらつき寒さも厳しくなってきて、児童館には人がどんどん集まってきました。


  最終的には250人を超える地域住民が児童館に避難してきました。小学校から歩いて5分のところまで津波がきて、小学校が指定避難所にはならなかったため、地域の人たちは行き場をなくして、右往左往していました。


  前年の10月に震災に備えて避難所シュミレーションゲーム「HUG」の講習を受けていた経験から、まず、受付を設けて人の出入りを記録する名簿を作成。懐中電灯の明かりの下、暗闇での対応に避難してきた方たちも戸惑いながらも協力してくれました。車椅子の方がいる家族、小さな子どものいる家族、ペットがいる家族など、避難者のニーズに合わせて部屋割りをしました。この受付記録は、後々の安否確認や問い合わせにとても役に立ちました。この講習会は子どもも大人もお年よりも、病気や障がいを持っていても、すべての人が安心して暮らせる地域を目指し、東中田地区の16の施設がネットワークを組んで活動する「ほっとネットin東中田」が行ったものでした。この体験は、後の「仙台発そなえゲーム」の開発につながっていきました。


  混沌とした状況の中、「私たちができることは何だろう」とにこにこの家のスタッフと考えたときに、「炊き出ししよう。にこにこの家は水・ガスが使える。小学校に閖上の方が避難してきている。あったかいものを食べてもらいましょう。」と自発的なスタッフと共に炊き出しをすることにしました。みんなが家にあるものを持ち寄ったり、地域の方から提供された食材や四郎丸小学校の教頭先生と大学生がリヤカーで運んでくれた支援物資を使って、3月17日炊き出し第一弾から5月の第5弾までおよそ1000食を地域に向けて提供しました。震災発生直後から地元紙の新聞販売店さんが「震災の情報伝言板」というミニコミ誌を発行していることを知り、伝言板に炊き出しのお知らせを載せていただいたら、「食べたいけどそこまでは行けない」という高齢者の方から連絡があり、ボランテイアをしてくれていた高校生が「私たちが届けます」と言ってくれ、自宅にお届けしました。「他にも同じような人がいるかもしれない」と「ほっとネットin東中田」の仲間の地域包括支援センターさんにも協力をお願いし、困っているお年寄り50人余りの方を紹介してもらいました。また、ときた新聞店さんの「伝言板」にも1人暮らし、二人暮らしの方、または何らかの障害を持つ方にお弁当を配達することを掲載してもらいました。「助けてほしい」「障害者がいて買い物に行けなくて困っている」等地域の20人余りの方から連絡をいただき、小中高生16人と一緒にお弁当やほっとネットin東中田の仲間の団体に送られてきた支援物資を60人の方に配布しました。ボランテイアしてくれた小中高生は「ありがとうの言葉が嬉しかった。"命を助けてもらった。"と言われた。いろいろな人が自分達の地域にいると知った。やってよかった。本当のボランティアをした気がする。」と話していました。日頃からの備えと、普段から地域の方との顔の見える関係を築いてきたこと、地域の方たちのあたたかい思いとつながりの大切さも震災を乗り越える原動力になりました。


  また、2011年6月と10月の2回、「ほっとネットin東中田」の主催で「東日本大震災から今後へ~わたしたちができること~」というテーマで地域の方111名と震災の振り返りをしたときに、「炊き出しの方法は適切だったのか」「避難所の運営は正しかったのか」「必要な情報は伝わったのか」「地域の人たちとつながっておくことが大切ではないか」など、さまざまな意見が出てきました。


  震災後の数か月、車も通らない昔の田舎道を歩いているような毎日の中で「震災を体験し、被災したわたしたちだからこそ、仙台から発信していかなくてはならないことがある。」と思い、HUGの講習をしてくださった社会福祉協議会の方や講演会のデータをまとめてくれた東北福祉大の先生にも声がけし、「「市民協働による地域防災推進実行委員会」を結成しました。」東中田地区の方はじめ100人の全国の方と共に、仙台市市民協働提案制度を活用して、災害に備えるために自分や地域に何が必要か・何ができるかについて、考えながら実践的に学べる参加型ボードゲーム【仙台発そなえゲーム】を開発し、普及活動を行っています。また、仙台市教育委員会の助成を受け、新防災教育副読本に対応した【防災・減災学習プログラム~命を守る~】を開発し、3月の国連防災世界会議テーマ館「市民協働と防災」で両方実施会を行います。2013年には東四郎丸小、2014年には袋原中学校で仙台市太白区のモデル校として、総合防災訓練を地域住民が主体となり行いました。NPOとして地域・学校と連携しながら、避難所運営マニュアルの作成や「仙台発そなえゲーム」の実施会も行うことができました。震災から学んだ「中学校区でつながること」の大切さを学校や地域と共有し、袋原中学校区学びのコミュニティ事業~かにっこ和太鼓隊~を結成し、子どもも保護者もPTAも先生もスーパーバイザーなど70名ほどで、地域を元気にしようと地域のお祭りなどで太鼓を鳴り響かせています。


 震災の時には袋原中学校区の学校と地域が、大人も子どももつながって乗り越えてきたことから、震災後の地域コミュニティ再生・新生に新たな活動が加わることになりました。


 東日本大震災の教訓を未来に活かし、自分たちの地域をいつまでも住み続けたいと思えるまちづくりをしていきたいと考えています。