平成2年6月22日イラン地震災害

各国救助隊の様子

イラン地震災害

はじめに イラン地震被害の状況
国際消防救助隊の構成と携行資機材
行動日程 救助活動 各国救助隊の様子
イランの建物の構造について
総括官日誌による補足(1) (2) (3) (4) (5)

5 各国救助隊の様子

 今度のイラン地震は、被害が極めて大きかったので、日本以外にも多くの国が救援チームを派遣している。筆者が確認しているだけでも、フランス、イギリス、スペイン、スイス、西ドイツ、イタリア、ソ連(他に近接のアゼルバイジャン共和国とバクー市が独立して救援隊を派遣)、キューバなどであり、国名は確認できなかったが近隣のアラブ諸国(シリアらしい)からも派遣されて来ているようで、各国チームのテント村のあったマンジールのイラン軍施設は、さながらオリンピック村の観を呈していた。

特に壮観だったのはフランスチームで、犬18匹を含む二百数十名の大部隊が専用機でテヘランまで飛んで来ていた。我々同様、入国後かなりの時間現地入りできずに足止めされていたようではあるが、テヘラン入りが早かったため、結局一番早く現地入りして活動を行っており、日本チームが到着した時にも、各国救援チームのリーダー格として各種の差配を行うとともに、マンジール近辺の孤立した村の探索を独自に行っていた。

日本チームは、27日早朝にフランスの救助チームと資機材等を展示しあって交流した。救助資機材そのものは日本チームとあまり変わらないものの、

  • (1)訓練された犬4匹と医療班2名を含む13名で1小隊、3小隊と司令部門合わせて60名で1編成となるチーム編成
  • (2)各小隊ごとに「6日間外部からの補給なしで独立して救助活動が行える資機材」がコンテナにパックされており、出動時にはそのコンテナを積み込むだけですぐに救援に飛び立てる体制
  • (3)活動現場で自由に動き回れるバギー車のような救助専用車
  • (4)偵察用のウルトラライトプレーン
  • (5)内部に机や椅子を持ち込める大型テントと野営用の簡易ベッド

など、フランスチームが軍の救助専門部隊で空軍機を専用機としてフルに使えることなどを割り引いても、なお今後の日本チームのあり方を検討する場合に参考になりそうな点が多々あった。逆にフランスチームが感心したのは日本チームのファイバースコープで、エルサルバドル以来さらに改良を加えて高性能になっているためもあり、「すぐに売ってほしい。」という冗談が出るくらい関心が高かった。
それ以外では、イギリス隊の持って来ていた衛星通信システムには感心した。マンジールのテント村の中にパラボラアンテナを立て、 インマルサット衛星を使って直接国際電話ネットワークにアクセスし、本国やテヘランのイギリス大使館とコンタクトしていた。筆者もイギリスチームの担当者に頼んで消防庁に連絡をとらせてもらったが、国際電話をかける要領でダイヤルすると、2~3秒で消防庁の救急救助課が出たのにはビックリした。なにしろ、マンジールから普通に電話しようとすると、車で2時間以上かけてラシュトまで出て、そこからテヘランに電話し、テヘランからさらに誰かに頼んで東京まで電話してもらわなければならないし、テヘランから東京までの国際電話には、昼間だとまず2時間は待つ必要があるからである。
それ以外の国は、救急車十数台を連ねて陸路医療チームを送ってきたアゼルバイジャンとバクーを除けば、人数的にも装備面でも日本の緊急援助隊と似たりよったりというところであり、日本もようやく緊急援助先進国の仲間入りをした、という感をもったところである。