秋風受けて

秋風受けて


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秋風受けて 室津(兵庫)平成6年9月

『風を防ぐこと室の如し』と播磨風土記にその名の由来があるここ室津は江戸の昔西国大名が参勤交代の時、海路到着して本陣を構え『室津千軒』として栄えた港町である。

しかし、その面影も今はなく、殆んどモルタル塗りで色瓦の2階建に変身している。

僅かに残るのは室津診療所と民俗資料館ぐらいで、いずれも白壁に格子造りである。この通りを抜けると視界が拡がり港に出た。そこには、既に漁から帰ったのか漁船が肩を寄せ合うように舷われている。

こんな漁村を見下ろす小高い丘の上に小さな火の見櫓が初秋の風を受けていた。