神戸市消防局に勤務した橋田治氏が、日本全国を訪ね歩いて、「火の見櫓」と「町並み」について描いた画集です。
ごあいさつ
平成8年3月、約40年お世話になった神戸市消防局の定年退職を控えて、人生の節目に何かを残したく、“火の見櫓と町並みと”と題する画集を発刊しました。
私が火の見櫓や町並にこだわるのは、職業意識によるものです。昔乍らの町並には文化の伝承があり、その町並を守って来たのが消防で、その消防のシンボルが火の見櫓なのです。だから火の見櫓と町並みは切っても切れない関係にあり、消防は文化の伝承の一端を担って来たと云ういささかの自負心があるのです。
そんな思いから、全く絵の基本も知らないまま、本にしようとした矢先、あの忌しい阪神大震災、怖るべき自然の猛威の前に為すすべもなく神戸の町は地獄の如き様相に一変し、この惨状を前にしてそんな自負心も悪魔の一撃で粉砕されました。今は只、多くの犠牲者の御冥福と安全で美しい街の再生を祈るのみでした。
あれから7年以上が経過し、神戸の街も力強く復興しています。そんな折、バーチャル・ミュージアムに画集を掲載させてほしいとの申し出があり、それを受けることにしました。画集同様多くの人に御覧いただければ大変ありがたいと思います。
平成14年10月 橋田 治

橋田 治 氏 略歴
昭和10年 (1935) 神戸市に生れる
昭和30年 (1955) 姫路市立姫路高等学校卒業
昭和31年 (1956) 神戸市消防士拝命
昭和63年 (1988) 危険物保安課長
平成3年 (1991) 消防学校長
平成6年 (1994) 長田消防署長
平成7年 (1995) 東灘消防署長
昭和60年 (1985) 個展「みほとけ」書廊蘖で開催
目次
| 北海道 | 異国情緒 | 函館 | 
|---|---|---|
| 青森 | 錦を着た『屯所』 | 弘前 | 
| 岩手 | ビルの谷間の『番屋』 | 盛岡 | 
| 秋田 | 海辺の半鐘 | 下浜 | 
| 山形 | 『おしん』の舞台 | 酒田 | 
| 福島 | 宿場の番人 | 大内宿 | 
| 埼玉 | 蔵の町 | 川越 | 
| 新潟 | 時を告げるサイレン | 相川 | 
| 富山 | 合掌の里 | 五箇山 | 
| 表札に支干(えと) | 井波 | |
| 福井 | 雨上りの三方五湖 | 三方 | 
| 思案橋と遊郭 | 三国 | |
| 鳥の声に誘われて | 上中町 | |
| 長野 | 火乃要鎮 | 妻篭 | 
| 岐阜 | 清流の町 | 郡上八幡 | 
| 青い朝顔 | 飛騨高山 | |
| 愛知 | 『絞り』の町 | 有松 | 
| 三重 | 江戸の面影の残す町 | 関 | 
| 滋賀 | 行雲流水 | 近衛八幡 | 
| 京都 | 雲が湧く | 舞鶴 | 
| 大阪 | 早春、妙見山麓 | 吉川 | 
| 兵庫 | 無動寺への道 | 神戸 | 
| 激震襲来 | 神戸 | |
| 『灯台』? | 明石 | |
| 秋風受けて | 室津 | |
| 冒険家の故郷 | 日高 | |
| 白壁に影落とす | 山南 | |
| デカンショの町 | 篠山 | |
| 川座敷 | 平福 | |
| 奈良 | 時が佇ずむ | 桜井 | 
| 旧伊勢街道 | 榛原 | |
| 駒繋ぎ | 今井 | |
| 和歌山 | 紀州塗器の里 | 黒江 | 
| 岡山 | 白壁の町 | 倉敷 | 
| 旧出雲街道 | 津山 | |
| 橋脚の町 | 下津井 | |
| 徳島 | 『うだつ』を上げた | 脇 | 
| 福岡 | 犬の目線 | 柳川 | 
| 佐賀 | カラフル朝市 | 呼子 | 
| 大分 | 忍返しにナマコ壁 | 臼杵 | 
