昭和40年代の消防
(3)予防
昭和40年代は、種々様々な法整備を行い、予防行政の強化に取り組んだ。
昭和30年代後半から、不特定多数の者を収容する防火対象物において火災が発生し、いざ消防用設備等を使用しようとしても活用できない設置の仕方であったり、十分に機能しないため被害が拡大するという事例が多数みられるようになった。このため消防庁は、消防設備士制度、消防設備点検資格者制度を発足させ、防火対象物に設置が義務づけられている消防用設備等のうち一定のものに関する工事・整備や点検をこれらの資格を有する者に行なわせることを義務づけた。
昭和43年6月には消防法の改正が行われ、管理系統の分かれる高層建築物、地下街及び地階を除く階数が5以上の複合用途防火対象物においては、共同して防火管理を行わなければならないとした(共同防火管理)。また、高層建築物、地下街及び不特定多数の者を収容する施設においては、火災を拡大させないためカーテン、幕類を防炎性能を有する物を使用しなければならないとした(防炎規制)。
防炎規制スタート(昭和44年4月1日)
昭和43年の消防法改正が施行され一定の建築物で使用するカーテン等については一定の防炎性能を有することが義務づけられた
(「自治体消防四十年の歩み」より)
さらに、昭和47年の大阪市千日デパートビル火災、昭和48年の熊本市大洋デパート火災など惨事が続発したことから、昭和49年6月に消防法の改正が行われ、これまで改正後の技術基準が原則として適用されないこととなっていた既存防火対象物におけるスプリンクラー設備等の設置・維持についても、百貨店、旅館、病院等の特定防火対象物にあたっては、遡及適用されることとなった。