昭和40年代の消防
(6)防災体制の充実
消防庁は、防災対策に万全を期するため、昭和41年度からは消防庁と全国都道府県を結ぶ消防防災無線通信網の整備を進め、都道府県と市町村を結ぶ無線通信網の整備は、昭和48年度から国庫補助金を交付して促進を図った。
また、昭和45年5月に中央防災会議の決定した「大都市震災対策推進要綱」に基づき、東京都及び大阪市に耐震性貯水槽、可搬式動力ポンプを設置するとともに、都道府県、市町村が住民及び事業所を指導するための指針書の作成、さらには大地震発生時の消防活動、避難誘導等の手法を開発するため各種研究を実施した。
石油コンビナート地帯における防災対策としては、昭和45年12月に「石油コンビナート地帯防災対策要綱」を定め、都道府県、市町村に対して各種対策の推進を指導するとともに、関係企業に対しても各種防災対策を講じるよう指導を行った。特に昭和46年度から都道府県に対し、防災対策促進のため、泡消火薬剤貯蔵設備、泡消火薬剤搬送用タンク車、泡放射砲、オイルフェンス等の防災資機材等を整備する場合についての補助制度を創設し、昭和49年度までに18道府県に対して助成を行った。
林野火災対策については、昭和45年度から林野火災の危険度の高い地域において、消防庁及び林野庁が共同して林野火災特別地域対策事業を推進することとした。内容は林野火災用消防無線、林野火災用防火水槽及び林野火災工作車の整備であり、消防庁はこれに対して3分の1(過疎地域は3分の2)を補助することとした。また、昭和44年度から消防研究所及び林業試験場が共同し、自衛隊の協力のもとに林野火災を対象としたヘリコプターによる空中消火のための機材の開発、空中消火技術の研究を行った結果、実用の見通しが立ち、昭和49年度を試験期間とし、昭和50年度から実施することとなった。