平成17年10月9日パキスタン・イスラム共和国地震災害

活動の詳細(1)

パキスタン・イスラム共和国地震災害

地震の概要 被害状況 派遣要請・出発 派遣期間等
派遣隊員 活動の詳細(1) (2) (3) (4) (5) (6)
捜索救助活動中の環境 国際緊急援助の課題
おわりに

6.活動の詳細

(1)現地到着まで(10/9~10/10午前)

 迅速性が最優先されるべき国際緊急援助であっても、出国手続等での特別扱いは受けられず、また、政府専用機・自衛隊機・チャーター機等で現地へ直接飛ぶことが出来ないとのことでありました。
 そのため、一般の方と同じ出国審査手続に時間を要して搭乗が遅れ、成田空港を10月9日の11時前に出発しました。また、イスラマバード定期直行便とのタイミングが合わなかったため、タイのバンコク国際空港を経由してパキスタンのラホール空港に向かい、そこから北約300kmに位置する首都イスラマバードに陸路で入らざるを得ませんでした。
 タイの現地時間9日15時15分頃(発災後約28時間半)にバンコク国際空港に到着しましたが、乗り継ぎ便までの時間が約5時間半もあり、空港ラウンジで焦る気持ちを抑えつつ、現地での救助活動方法のミーティングや小隊編成などを行いながら、ラホール空港への出発を待ちました。
 20時40分頃にバンコク国際空港を出発し、パキスタンの現地時間23時20分頃(発災後約38時間半)にラホール空港に到着し、急いで手荷物等をトラックに詰め込み、大型機材等は現地要員に積み替え等を委ね、隊員は現地チャーターの小型バスに肩を寄せ合いながら乗り込み陸路イスラマバードに向かいました。そして、イスラマバード近郊に所在するパキスタン軍のチャクララ空軍基地に到着したのは、10日6時20分頃(発災後約45時間半)になっていました。

 チャクララ空軍基地に到着後、すぐに在パキスタン日本大使から、「パキスタン政府の要請により、イスラマバードの北方約120km(震源地の北西約50km)に位置する北西辺境のバトグラム郡(その中心がバトグラム村)において捜索救助活動を行うことになった。」旨を伝えられました。大使によると、バトグラム郡における被災状況はパキスタン政府も未把握であり、軍も本格的な活動は展開しておらず、また、バトグラム村までの道路が通行可能かは不明とのことでした。

 バンコク国際空港において、震源地に最も近い大都市のムザッファラバードで活動するとの事前情報を聞いていた我々にとって、これは意外な話でした。加えて、現地の被災状況・治安状況等の情報が十分に把握されていないことに不安を抱きもしましたが、9時30分頃、突然、パキスタン軍のヘリコプター(Mi17型)で隊員だけが現地に入ることが告げられ、急ぎ準備をし、2隊に分かれてヘリに搭乗しました。

 約1時間後の現地時間11時30分頃(発災後約50時間半)、救援物資の到着と思って詰めかけた数百人の現地住民をパキスタン軍の兵士が制止する中、臨時へリポートとなったバトグラム村の荒れた草原に着陸しました。

パキスタン軍のヘリでバトグラムへ

バトグラム村の臨時へリポートに到着