平成5年12月13日マレーシア・ビル倒壊災害

総括

マレーシア・ビル倒壊災害

はじめに マレーシア・ビル倒壊の災害状況
国際消防救助隊の構成 行動日程
救助活動を取り巻く環境 救助活動方針
救助活動概要 各国救助隊の状況 総括 最後に

8.総括

  • (1)今回の救助活動は、地震等に伴う広域的な災害と異なり限定された災害であったことから、活動を行うにあたり最低限確保しなければならない救助資機材の搬送手段や保管場所そして水、食料等の手配については日本大使館やJICA、在留法人、日本人会、カトレア会(婦人で構成)等多数の方々から支援を受け、救助活動が円滑に行われたこと。
  • (2)隊員の健康管理については、連日30度を越す暑さの下で不眠不休に近い活動であり、体調や疲労面に細心の注意を払う必要があった。この点については勤務シフトを設定し自己管理による疲労軽減の調整を図り、また十分とはいえないものの比較的水、食料等の補給状況が良好であったこと等から一応の健康保持ができたのではないかと思われる。
  • (3)さらに、この健康管理とあわせ一番配意しなければならない安全管理面についても、いつ崩落等の二次災害がおきてもおかしくない状況下での活動であったことから次のような安全管理策を講じた。
    • 1: 屋内進入に先立ち、倒壊建物に対する建築用パイプ(支柱)を使用した倒壊防止を施した。
    • 2: パワーショベルのヘッド部分を利用しての隊員の活動範囲をヘッド部分の範囲内としたこと。
    • 3: 各国チームと連携をとり、互いに作業方法を確認しながらの救助活動としたこと。
    • 4: 今後の教訓としては、生存者の救出が期待できる時間は限られており、かつ災害の態様によっては当然多くの交替要員も必要となってくる。
      また、広域的な災害となれば自ら水、食料等を確保するのは当然であり、兵站部門の支援もふくめた十分な人員を編成する必要がある。

「パワーショベルのヘッド部分を活用しての救助活動」