平成3年5月15日バングラデシュサイクロン災害

各国救助隊の様子

バングラデシュサイクロン災害

はじめに バングラデシュサイクロン災害の状況
国際消防救助隊の構成と携行資機材
行動日程 救助活動 各国救助隊の様子
隊員の手記から

5.各国救助隊の様子

 バングラデシュ政府は、被災民救援のために国際的な救援を求め、各国がこれに応じた。このうち、救援物資を直接被災地に搬送するまでの援助を行ったのは、米国、英国、インド、パキスタン、中国、タイ、イタリア等の各国の軍である。実際に我々が救援活動を通して直接接したのは、米国、パキスタンのみであったが、現地TV報道の中でもヘリを持って援助に来た国に対しては、特別の紹介をしていた

○米軍の救援活動

 活動の規模については米国が圧倒的に大きく、27機のヘリコプターを使用し、空港とヘリ空母を活動拠点として活動している。5月15日から海軍と陸軍が活動を開始し、同29日海軍の20機が撤収、陸軍は、6月12日まで活動の予定であった。
 米軍の支援体制は規模が大きく、水浄化装置、テント用エアコン等の生活設備一式を持参している。また救援活動そのものに対しても、バングラデシュ政府救援対策本部以上の発言力を持っている。
 なお、我々の見た米軍のヘリは、31t級の超大型機であり、メインローターのギアボックスを外し、ギャラクシーに乗せてペルシャ湾派遣中、船で1週間かけてバングラデシュに来たとのことである。
●援助額 2214万ドル

激励に訪れた米国クウェール副大統領夫人

○英国軍の活動

 我々よりやや遅れ、5月20日からヘリ4機で活動を開始した。総員200名規模での参加と聞いているが、直接我々が見ることはなかった。6月3日の引揚げ予定であったが、6月1日墜落事故を起こし、ヘリ1機を失っている。幸いにも乗員の死者は無かった模様である。
(この2週間前、5月20日ごろには、同様に米軍ヘリもベンガル湾に墜落していることが新聞に報道されている。)
●援助額 780万ドル

○パキスタン軍の活動

 パキスタン軍の活動拠点は、我々と同じ建物で隣室を使用していた。ヘリ2機の活動で、規模的には我々と同程度であったが、21日にはシレット洪水の救援活動の方へ転戦した。しかし、一度ダッカに到着した後、ヘリ損傷のため再びチッタゴンに戻ってきている。ヘリ修繕の後、パキスタン軍は、23日に再びダッカへ向かっており、活動を共にする機会はなかった。
●援助物資等 米2500t、テント5000張、布5万m、他 医薬品、食料

○インド軍の活動

 インド軍はヘリ3機で活動、ダッカを拠点として活動したが、5月21日には帰還している。

○EC

●1200万ドルの緊急食料、医療援助

○フランス

●5万ドルと水浄化用薬品の緊急援助

○サウジアラビア

●1億ドルの緊急援助

○韓国

●10万ドルの緊急援助

○タイ

●8万ドルと5000tの緊急物資支給

○ニュージーランド

●2万9千ドルの緊急援助

●2万9千ドルの緊急援助

 BAFの救援活動として18機のヘリが稼働した。チッタゴン空港にもBAFのヘリ(ミル)5機が置かれていたが、飛んだのは1機のみであった。これは、サイクロン時機体が波にさらされ、飛行不能となったためであると聞いている。塩水をかぶったヘリが、そのまま放置された状態で置かれている。BAFにオーバーホールの能力があるかどうか明らかではないが、矛盾した光景である。