消防防災

3.消防防災に関する情報通信の枠組み
(フレームワーク)

3-4 情報通信ネットワーク(伝達ツール)

(1) 国、消防庁、地方公共団体、住民等を結ぶネットワーク

 災害時においても通信を確実に確保できるよう、国、都道府県、市町村等においては、公衆網のほか、災害に強い自営網である消防防災通信ネットワーク、非常用電源等の整備を行っている。現在、国、消防庁、地方公共団体、住民等を結ぶ消防防災通信ネットワークを構成する主要な通信網として、①政府内の情報収集・伝達を行う中央防災無線網、②消防庁と都道府県を結ぶ消防防災無線、③都道府県と市町村等を結ぶ都道府県防災行政無線、④市町村と住民等を結ぶ市町村防災行政無線並びに⑤国と地方公共団体及び地方公共団体間を結ぶ衛星通信ネットワーク等が構築されている。
詳細は総務省電波利用ページ「3 防災用無線システム等の概要」を参照。

消防防災通信ネットワークの概要(平成27年版 消防白書)
(2)ヘリコプター直接衛星通信システム(ヘリサット)

ヘリコプターで撮影した被災地の映像を災害対策本部などへ送るヘリコプターテレビ電送システム(ヘリテレシステム)は、 ヘリコプターと地上アンテナ設備との間に山がある場合は、電波が遮へいされ伝送できなかった。そのため、2003年の新潟中越地震などのように、山間部からの被害情報の収集が迅速に出来なかったという問題があった。
そこで、ヘリコプターからの映像データを通信衛星に直接伝送するための通信設備であるヘリサットが開発され、日本中どの地域が被災しても被災地の情報収集が可能となった。
消防庁ヘリコプターへのヘリサット搭載は、平成25年3月に京都市消防局から始められ、東京消防庁、埼玉県、宮城県、高知県で行われている。

総務省ホームページ
総務省ホームページ
(3) 地震防災に関するシステム

①内閣府の地震防災情報システム(DIS)

 阪神淡路大震災に際しては、発災時における応急対策活動を円滑に行うための課題として、特に被災地の状況を迅速に把握することの重要性が改めて指摘された。
 内閣府ではこうした経験にかんがみ、地震発生直後に被害のおおまかな規模を把握するための「地震防災情報システム(DIS:Disaster Information Systems)」を平成8年4月から運用を行っている。

 DISは、地盤・地形、道路、行政機関、防災施設などに関する情報を必要に応じあらかじめデータベースとして登録し、この防災情報データベースを基礎として、災害対策に求められる各種の分析や発災後の被害情報の管理を行うものである。
 DISにあらかじめ登録する防災情報の例としては、次に掲げるようなものがある。

  • ・基本地図 1/25,000地形図、1/2,500詳細地図
  • ・自然条件 地質、活断層
  • ・社会条件 人口・世帯数、高層建築物、地下街
  • ・公共土木施設 道路、鉄道・駅、港湾、空港、ヘリポート
  • ・防災施設 行政機関、病院、避難施設、備蓄施設

(内閣府HP、「平成15年度及び平成21年度 防災白書」より転載)

(内閣府HP 地震防災情報システム(DIS)の概要図より転載)
(内閣府HP 地震防災情報システム(DIS)の概要図より転載)

②消防庁消防研究センターの広域版地震被害想定システム

 消防庁消防研究センターでは、東日本大震災のような巨大地震が発生した場合に、緊急消防援助隊の派遣など発災直後の意思決定支援を目的として、地震による被害分布と被害数の推定が可能な「広域版地震被害想定システム」を開発を進めており、現在試験中である。

【システムの特徴】
  • ・震度情報に基づく面的震度分布と被害の推定(家屋倒壊、人的被害、火災件数)が可能である。
  • ・250mメッシュサイズの地盤条件や人口の分布データを使用している。
  • ・地震情報が更新された場合には、推定結果が再計算される。
  • ・地震情報をUSGS(アメリカ地質調査所)および民間気象予報会社など複数化している。
  • ・海外で発生した地震の被害を推定することが可能である。
(4)その他の災害情報の伝達手段について

①Lアラート(災害情報共有システム)

 一般財団法人マルチメディア振興センターが収集・フォーマット変換・配信用サーバーを設置し平成23年6月から運営しているシステムで、国の機関、地方自治体が情報を提供し、報道機関等がTV、ラジオ、インターネット、緊急速報メール等により情報を住民等に配信するシステムである。
(参考:「総務省HP 災害情報共有システムの概要」)

②Jアラート(全国瞬時警報システム)

 弾道ミサイル情報、津波情報、緊急地震速報等、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、人工衛星を用いて国(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市区町村の同報系の防災行政無線等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステムである。
(「消防庁HP J-ALERTの概要」より転載)

③緊急速報メール

 緊急速報メールは、携帯電話事業者(NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー(au)、ソフトバンク)が無料で提供するサービスで、国や地方公共団体による災害・避難情報等を、回線混雑の影響なく、特定のエリア内の対応端末(携帯電話)に一斉に配信するものである。

  • ・緊急地震速報(警報)、大津波警報・津波警報、気象等(大雨、防風、高潮、波浪、暴風雪、大雪)に関する特別警報、噴火に関する特別警報

(「気象庁HP 緊急速報メールの配信について」より転載)

④市町村から住民への情報伝達手段

市町村から住民への情報伝達手段の整備については、「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き 平成25年3月 総務省消防庁防災情報室」発行」を参照。

⑤応急活動する団体の職員等が活用している情報伝達手段

  • ・市町村職員(市町村防災行政無線(移動系)、携帯電話)
  • ・消防職員(消防救急無線、携帯電話)
  • ・消防団員(消防救急無線、市町村防災行政無線(移動系)、簡易無線機、携帯電話)
  • ・水防団員(市町村防災行政無線(移動系)、簡易無線機、携帯電話)
  • ・都道府県職員(都道府県防災行政無線(移動系)、携帯電話)
  • ・警察職員、海上保安庁職員等(専用の無線システム、携帯電話)