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【総務大臣賞】防災の輪を広げるコツ 「楽しく防災活動をやろう」

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加古川グリーンシティ防災会
(兵庫県加古川市)

事例の概要

<経緯>
 加古川グリーンシティ防災会では、平成7年の阪神・淡路大震災後にクローズアップされた「マンションの災害対策」に徹底的に取り組んだ。
 マンションはプライバシーが守られる反面、ご近所付き合いが薄いのが最大の問題である。この問題を如何に解決し、どうすれば仲間を増やし、みんなが防災活動に取り組むことができるようになるかを考えた。
 楽しくなければ防災の輪は広がらない「楽しく防災活動をやろう」というテーマで、住民の方々に対し多彩なアイデアを仕掛けたことで乗り越え、仲間づくりをすることに成功した。

<内容>
 防災におけるソフト面及びハード面の両方を整備している。
1.ソフト面として
 (1)「ひとづくり、ひとのつながり」をテーマとした運営
   地域コミュニケーションを重視し、「あいさつ運動」、「小さな親切運動」、及び「ふれあい餅つき大会」等を実施している。
 (2)「自分たちのまちは、自分たちで守る」をテーマとした運営
   次世代への防災体制の受け渡しを考え、「自警団」の設立、子どもたちと合同の「町内夜回り」、及び「市民救命士の養成」等を実施し、子どもたちから大人までが世代を超えて、一緒に自分たちの住んでいる町をしっかりと理解し、災害発生時の心の準備と心のトレーニングを実施している。
 (3)「災害発生時の対策」をテーマとした運営
   災害発生時の対策を考え、「防災マップ」、「町内チャンピオンマップ」、「あんしんカード」、「命のライセンス」及び「DIG(災害図上訓練)」等を実施している。
 (4)「楽しく防災活動をやろう」をテーマとした運営
   楽しくなければ防災の輪は広がらないをキーワードとし、「1000円出しの会」や「サッカーワールドカップ観戦会」等を実施し、多くの仲間を集めている。
2.ハード面として
 (1)住民同士の情報の共有をテーマとした整備
  「ニューメディアシステム」「グリーンネット」「ホームページ」
 (2)災害に強いまちづくりをテーマとした整備
  「ネットワークカメラ」「防犯カメラ」「防災倉庫」
 (3)非常時連絡体制をテーマとした整備
  「防災用無線機」「携帯電話向けホームページ」
 (4)災害時の救助体制をテーマとした整備
  「AED(自動体外式除細動器)」「各種防災資機材」「災害時役割シール」
   数々のアイデア事業を通して、守る心、助け合う心、生かされている自分の存在等、災害時における減災を目的として取り組んでいる。

炊き出し訓練 夜回り
防災マップ 広報紙「グリーンだより」
防災情報ホームページ DIG風景
命のライセンス 心肺蘇生法教育器材の保管ロッカー
災害時役割シール あんしんカード
携帯電話向け「防災情報ホームページ」

苦労した点

 平成7年に阪神・淡路大震災を経験したにもかかわらず、ありきたりの防災訓練では参加者は固定された少人数に限られていた。
 大多数の住民は、マンション内の事に無関心で、これらの人々を取り込むために各地で実施されている防災活動をくまなく調査し、有効な活動事例を当マンションに適用できる様にアレンジし、みんなが参加できる防災活動の立案を心掛けた。
 また、行政にも協力をお願いしたが、最初は「マンション内のことはマンション内で解決して欲しい」と取り合ってくれず、活動の実践結果をアピールしながら、行政との協力体制を構築するまでに時間を要した。

特徴

 すべての人に防災意識を持ってもらうため、「グリーンだより」(広報誌)、「グリーンネット」(マンション運営情報及び緊急情報伝達システム)、「ニューメディアシステム」(テレビの空きチャンネルを利用したコミュニティ放送)、及び「命のライセンス」(災害発生時の行動指針を示した小冊子)等を利用した情報提供設備を構築した。
 災害時に主に成人を対象とした「助けることができる人」、主に高齢者及び災害弱者を対象とした「助けてもらいたい人」の登録制度、「子どもたちとの合同の町内夜回り」、世代間交流を目的とした「もちつき大会」等、すべての世代が防災活動に参加できる行事を実践している。
 我々は「継続すること」が大きな力になることを知っている。そのためには楽しくなければならないと考え、「楽しく防災活動をやろう」を合言葉に防災活動を実施している。

委員のコメント(防災まちづくり大賞選定委員 室崎益輝(独立行政法人消防研究所理事長))

 新興住宅地やマンションなどでは、古くからのコミュ二ティがないということで、自主的な防災活動がなかなか組織できない、という大きな悩みを抱えている。ところが、その悩みは幻想に過ぎないこと、やる気と工夫さえあれば素晴らしい活動が展開できることを、このグリーンシティ防災会の活動は見事に教えてくれている。まず驚かされるのは、その活動の多彩性である。あいさつ運動や親切運動さらには夜間の見回り運動などのソフトな活動と、防災井戸づくりや高架水槽の付け替えさらには防災倉庫の設置などのハードな活動が車の両輪のごとく精力的に展開されている。また、活動の先進性にも驚かされる。ITを駆使した防災放送や緊急連絡システムにまず驚かされるが、それに加え、防災無線機、水中ポンプ、防犯カメラ、AED、など最新の装備が設置されている。ソフトなシステムも極めて先進的である。DIGという最新の図上訓練はもとより、あんしんカードや命のライセンスといった緊急連絡グッズ、さらには特技の登録制度によるネットワークづくりなど、学ぶべき取り組みが満載である。そして何より驚かされるのは、団地ぐるみで老若男女みんなが楽しく防災活動を展開しているという、参画性である。こうした素晴らしい活動は、一朝一夕にできるものではないはずで、ここまでの労苦に心からの敬意を払いたい。と同時に、この成果と教訓が全国のマンションに広がることを願ってやまない。

団体概要

・ 世帯数:584世帯
・ 人 口:約2,000人

実施期間

 平成8年〜