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結索で結ぶ防災の輪(阿佐ヶ谷結索道場の開設)

L0033234t 002-005



杉並防火協会阿佐谷地区連合支部(東京都杉並区)



事例の概要

<経緯>
 杉並区の阿佐谷地区は、都市基盤において脆弱的要因とされる道路狭隘と木造密集地域に大部分が占められていることから、災害に強いまちづくりを目指した各種活動に長年注力してきた。中でも、防災行動力の向上を図るため、地域の住民に対して防災訓練への参加を積極的に働きかけ、消火、救助、救急等の対応訓練を進めてきた。しかし、訓練は全体的に画一的な内容に偏る傾向があるとともに、参加者の多くは防災市民組織の一部の人達だけという状況が多く見受けられた。
 そこで、訓練内容のマンネリ化や防災訓練参加者の固定化という問題点を解消するため、種々の解決策を模索してきた。その糸口は、平成13年の地区総合防災訓練(参加者数:300名)において、新たに訓練種目に加えた結索訓練を行った際に訪れた。手品のように作られる節結びと、実生活にも活用できる巻き結びを用いた避難ロープの作成を披露したところ、参加者の関心を強く引き寄せ、訓練会場はさながら結索訓練一色に染まるほどの大盛況を博した。
 この貴重な体験から、住民の関心の高さを生かし、「結索」を前面にアピールするとともに、単に結索技術の指導を行うだけでなく、継続的に訓練に参加し技術を確認できるよう、杉並消防署の協力の下、平成14年7月から「阿佐ヶ谷結索道場」を開設した。


<内容>
 以下のような方法で、地域が一丸となり、結索道場の活動を推進している。

1.地区総合防災訓練における道場の開設
 平成14年の地区総合防災訓練から、結索訓練をメインにした構成とした。「いざというときのロープ一本」をスローガンに、災害の際に必要な結索技術を、実生活にも生かせる結索技術として住民に親しんでもらい、地域住民300名が技術を習得した。

2.地域の防災訓練における道場の取り組み
 結索道場には初段から三段までの段位がある。段位ごとに認定試験を行っており、合格した場合は有段者となり、以後は当該段位の結索技術の指導者として活躍する。このため、各町会等の防災訓練に際しては、多数の有段者が指導者として結索技術の普及に努めている。

3.杉並消防署阿佐ヶ谷出張所での道場の開設
 個人やグループが道場に入門する場合を考え、杉並消防署阿佐ヶ谷出張所で常時道場を開設している。入門者は希望する日時に訓練を受けられることから、開設後約一年間で合計74組258名の地域住民等が阿佐ヶ谷出張所の門を叩いた。

4.ひもまつり
 ひなまつりにちなみ、毎年3月3日前後に開催している。火災や地震などの災害時や家事、アウトドアなどの日常生活において、習得した結索技術がどのように役立てられるのかを有段者等が演じる寸劇により楽しみながら理解してもらっている。また、ロープを使ったマジックも披露しており、大人から子供までが楽しめる阿佐谷地区の「ひもの祭典」である。

5.その他
 地元の青少年育成委員会が主催する「こどもまつり」やレクリエーション、杉並消防少年団や東京消防庁災害時支援ボランティアの訓練などでも、手品のように作る結索技術を中心に、有段者が結索技術の指導を行い、「結索で結ぶ防災の輪」を地域に広げている。

青少年への指導

有段者(黄色のジャンパー)の指導


初段試験

巻き結びの指導


節結びの指導



苦労した点

1.結索道場の常時開設
 最初に、各町会・自治会における「結索道場開設のお知らせ」の回覧や町会役員による広報活動により、結索という言葉の意味と道場の存在を地区全体にPRした。そして、近年のライフスタイルの多様化に対応できるよう、結索道場への入門については、町会等の防災訓練への参加以外でも、個人やグループで杉並消防署阿佐ヶ谷出張所を訪ねることにより、いつでも簡単に入門することができることとした。地域での各種イベントでも積極的に結索道場を開設し、住民の関心を集めている。このように、多様な参加方法を採り入れたことにより、道場開設から約一年間で体験者は延べ2,500名を超え、数多くの新規防災訓練参加者の開拓が果たされた。

2.認定試験の実施
 訓練のマンネリ化を解消するため、結索道場では、初段、二段、三段の三つの段位を定め、段位ごとに技術の習得を確認する認定試験を実施している。このように、入門者の結索技術習得への向上心を継続的に喚起するシステムとしたことから、過去の防災訓練では見られなかった多数の訓練リピーターが出現し、競い合うように技術の習得に努めている。

3.指導者としての活躍
 地域での防災活動においてリーダーの存在は不可欠であるため、結索道場では、認定試験の合格者に認定証を授与し、合格後の当該段位の結索訓練実施時において、指導者として活躍の場を提供している。これまでに、初段50名、二段34名、三段29名の有段者が誕生しており、住民への結索指導を通じて、新たな地区の防災リーダーが輩出されている。

団体概要

 杉並防火協会阿佐谷地区連合支部は、杉並区阿佐谷北及び高円寺北の一部の地域からなっており、合計13の町会・自治会・商店会により構成されている(世帯数16,933世帯)。
 

実施期間

 平成14年7月〜