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宮澤清治の防災歳時記

津波かるた

NHK放送用語委員会専門委員
元気象庁天気相談所長
宮澤 清治

津波かるた

かつて大阪管区気象台長などを務めた大谷東平さんは名随筆家だった。氏の著書「気象診断」(地人書館刊、1966年)に「津波かるた」という一章がある。今でも参考になる点が多いので、その一部を紹介する。


一度逃げたら2時間お待ち
老人子供の避難を先に
初めて安心警報解除
逃げ口必ずふだんに用意
防波堤で一村安全
下手な思案より先ず退避
遠浅海岸高まる津波
地震の後は津波の警戒
流言ひ語に惑わされるな
盗人よりも暴れる津波
留守と津波に心の鍵を
終わりにしよう津波の災害
忘れるな津波の大きな災害
各戸に備えよ懐中電灯
余裕があれば火の始末
高い所に津波なし
例年手入れよ防潮林
揃って避難終わって点呼
常に備えよ非常袋
眠る夜半にも津波は来る
何にもならない迷信棄てよ
ラジオで知らせる津波警報
無理してけがすな大事な体
海を背に近道逃げよ慌てずに
 
ゐろりの火も消せ地震の避難
延ばすな津波の防災対策
沖の船舶避難は沖へ
苦しい経験記念碑に
薬品食糧非常袋に
毎年続けよ津波の訓練
警報文は「ツナミオソレ」
「ヨワイツナミ」「オオツナミ」(当時)
V状湾奥最大の津波
子供の時から津波の教育
映画も津波の啓もう宣伝
手入れ忘れるな防潮林
上げ潮にまさる引き潮の偉力
三陸沿岸津波の本場
近所の人を誘って避難
ゆらゆら地震津波の警戒
滅多に起こらぬ津波を忘れず
見張り人たて海の警戒
震災よりも火災を防げ
演習どおりに津波の退避
避難道路は低地を避けよ
も少しと思う心がけがのもと
正式の発表以外は信ぜずいわず
素早く避難定めた所へ
運より準備

この「津波かるた」は1957年、岩手県盛岡測候所の山本正巳所長と技術課長が額を集めて作った。同年3月3日の三陸地方の津波退避訓練の日に、県から沿岸の各戸に「かるた」が配られ、何時来るかわからない津波に対して大衆の心構えの指針を与えたのである。