防災展示場
消防防災GIS
災害写真データベース

3 火山噴出物による直接的災害

火砕流-(1) 火砕流とは

 火砕流とは、軽石・スコリア・火山弾・岩塊・火山灰などの破片状火山噴出物(すなわち火砕物)や溶岩片など、高温状態にある大小の噴出物破片が一団となって、高速で斜面を掃過する現象である。「流下する」とも表現されるが、滑材は気体であり、水などの液体の関与はない。火砕流は、ガスと、粉体化する岩石破片との高温混合物であり、その高温(一般に1000℃程度まで)と、高速(時速200km以上も稀ではない)とのために、事前の避難以外に逃れることは極めて難しく、火山災害の中でも最も危険な現象の一つである。
「火砕流」の用語は、わが国では、1991年雲仙普賢岳噴火で43名の犠牲者を出す事件が生ずるまで、国民一般にはあまり知られていなかった。「Pyroclastic flow」を和訳した1957年生まれの若い用語であるためと、この現象が1929年の北海道駒ヶ岳以来約60年間、日本では顕著には起こらなかったためである。現象自体は以前から知られ、「熱雲」や「軽石流」などと呼ばれていた。「火砕流」の語が誕生してから、それまでの用語は別表(表1.3.3)のように整理されている。
 この現象の恐ろしさが特に世界に知れ渡ったのは、1902年西インド諸島マルチニーク島のプレ火山の事例だった。火砕流は裾野の港町サンビエールを全滅させ、28,000人が瞬時に犠牲となった。(図1.3.4参照)。
[外見]火砕流は高温の破片物質の団塊であるために、溶岩などに比べると、高温物質が空気に触れる表面積がきわめて大きい。このため、周囲の空気を急激に加熱・膨張させて上昇気流を生じ、移動に伴って壮大な噴煙幕をつくりやすい(図1.3.4参照)。この見かけから、かつては「熱雲」ともいわれた。
図1.3.4 プレー火山1902年噴火の火砕流(熱雲)