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3 火山噴出物による直接的災害

航空機の火山災害-(3) 噴煙の観測

 噴煙は上昇したあと風に流されて広がり、大規模な噴火では火山から千キロメートル以上に達する場合もある。広がった噴煙の全貌を地上から把握することは不可能であり、噴煙の観測には人工衛星の画像が用いられる。日本では1時間毎に画像を取得できる静止気象衛星「ひまわり」の画像が有効である。また、極軌道気象衛星「ノア」の画像(1日2回取得)は分解能が高いために薄くなった噴煙の広がりも検出できる *11)。
 噴煙には大量の水蒸気が含まれるため通常の雲と噴煙との識別が困難であったが、近年、「ノア」のセンサーの複数の赤外チャンネルを組み合わせた画像処理による識別手法が開発された。「ひまわり」5号には「ノア」とほぼ同様の特性を持つ2種類の赤外チャンネルが搭載され、その画像処理によって噴煙と雲を明瞭に識別する事例が蓄積されつつある (図1.3.23) *12)。しかし、雲と噴煙が混在している場合や雲の下の噴煙は検出そのものが依然として困難である。
 なお、航行中の航空機からは、日中の晴天時を除いて夜間や悪天時に噴煙を発見することは不可能であり、航空機搭載のレーダーでも検出ができない。航空機搭載用の噴煙検出機器の開発が強く望まれている。また、活火山に近接している空港や、低高度を飛行する飛行機にとって障害となる高度数km前後の噴煙の検出・観測手法の開発も大きな課題である。
図1.3.23 静止気象衛星「ひまわり」の赤外差分画像で観測されたカムチャッカ半島ベズイミアニ噴火の噴煙の識別
(矢印の先、1995年10月6日12時頃(日本時間)、左は赤外画像、右は赤外差分画像)(東京航空地方気象台1997)

*11 澤田可洋(1995):リモートセンシング―人工衛星による火山活動の観測,火山の事典,朝倉書店,362-366頁

*12 徳野正巳(1997):衛星を利用した火山灰の検出について,気象,No.479,10-14頁