防災展示場
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3 火山噴出物による直接的災害

火山活動と気候

 大きな爆発的噴火では、噴煙が成層圏に達し、火山灰や火山ガスが、数カ月から数年にわたって大気中に滞留する。それらの物質は太陽光を散乱し日射量を減少させ、その結果気温が低下する。
 この気温低下は局地的ではなく、成層圏の気流によって浮遊物質が運搬されるため全世界に及ぶ。1980年セントヘレンズ山噴火の時は、ジェット気流に乗った浮遊物質は、ヨーロッパ・アジア大陸を横切り、16日目に日本に飛来している。1982年エルチチョン山(メキシコ)や1991年ピナツボ山(フィリピン)の大規模な噴火の際には、日本でも直達日射量の低下や気温の降下が観測されている。
 日本では1783年(天明3年)に浅間山が大噴火したので天明の大飢饉が生じたとされている。しかし、世界規模の影響を与えたのは同年アイスランドのラキ火山の割れ目噴火によるものである。
 このような現象は低温化と日照量の減少のため、農業生産の低下を引き起こす。また低温化と日照量の減少のため地球が氷河期に入るという議論もあるが、噴火の頻度などから言って火山噴火だけに起因するとは考えにくい。
 なお、図1.3.18によると、低緯度地域では貿易風(偏東風)、中緯度地域では偏西風によって火山灰が運ばれていることがわかる。
図1.3.18 歴史時代の降下火山灰の分布軸の方向(矢印)とクラカトア1883年大噴火による大気の光学異常の伝播

*1 横山 泉・荒牧重雄・中村一明編:岩波講座地球科学7,火山,岩波書店,1979