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5 避難に関する基礎知識

2.的確な避難のために考慮すべき事項

要介護高齢者の避難行動

 平成10年8月末北関東・南東北豪雨災害における郡山市の要介護高齢者(在宅介護ヘルパーに派遣要請をしている高齢者)の避難実態を示す。ここにおける避難率は、郡山市において発令された二度の避難勧告・指示のうち、一度でも避難を行った人の割合を示している。この避難率によれば、要介護高齢者全体の避難率は約62%となっており、一般世帯に比して低い値となっている。特に、寝たきり状態の人など、避難に際して身体的制約の大きい高齢者や、避難勧告・指示の発令時に様子を見に来てくれる人がいないなど、地域コミュニティから孤立した高齢者の避難率は顕著に低く、要介護高齢者の避難には、その身体的条件や周辺からの避難援助の有無が大きな影響を与えることわかる。
 一方、避難勧告・指示の発令時における、避難情報の取得状況と、その際の危険意識、避難の必要性の認識など、避難行動に関わる意識の実態を見てみると、要介護高齢者は一般世帯員に比べて、比較的早い段階で情報を取得しており、その際に破堤や越流に対して抱いた危機感も高いことがわかる。これは、自らが身体的な制約を有するが故に、洪水被害に対する不安意識が高く、それが積極的な情報取得を促した結果と解釈できる。以上のように、水害時において多くの要介護高齢者が、大きな不安のなか、積極的に情報取得に努め、洪水に対する危機感や避難の必要性を感じているにも関わらず、避難が困難な状況におかれている実態が明らかとなった。災害時の犠牲者の多くが、こうした高齢者によって占められる現実を踏まえるならば、このような高齢者への配慮は緊急の課題と言えよう。
図2.5.18 避難行動の有無

*38 片田敏孝,及川康,寒澤秀雄;「河川洪水時における要介護高齢者の避難実態とその問題点」,「第34回日本都市計画学学術研究論文集」,p715−720,1999

図2.5.19 避難情報の取得状況と住民の危機意識・避難意向

*38 片田敏孝,及川康,寒澤秀雄;「河川洪水時における要介護高齢者の避難実態とその問題点」,「第34回日本都市計画学学術研究論文集」,p715−720,1999