防災展示場
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5 避難に関する基礎知識

1.避難のための目安

浸水深と避難

 暴風雨時に浸水域中を避難する場合、ヒザを越える水深ともなると非常に歩きにくくなる。伊勢湾台風時に、高潮浸水域を歩いて避難した人からの聞き取り調査では、水深30cm以上になると大人でも歩くのが困難になり、避難することができた水深は、大人の男性で約70cm以下、大人の女性で約50cm以下であった。避難できた人でも、大半の人は何度も足をとられ、すべったり転んだりしている。また、半分近くの人は持っていた荷物を途中で捨てている。静かな内水氾濫の場合には、胸や首まで水につかって避難している例もあるが、このような場合極めて足をとられやすいので、何かにつかまらなければ歩くことができない。市街地が浸水した場合の死者発生原因では、冠水した道路を歩いているうちに、深みにはまったり、側溝・排水路・マンホールなどに転落したりして溺れるのが大半である。
 浸水深の増大につれて死者率は急激に増大する。深夜の災害では昼間の災害に比べて、同じ水深でも死者率が10倍以上にもなる可能性がある。流れがある場合、その流速は水深の2/3乗に比例し、またその流れが及ぼす流体力は、流速の2乗と水深の積に比例する。したがって、水深が増すと危険が非常に大きくなる。
図2.5.1 避難時の最高水位と水流(1974年静岡県巴川水害)

*30 西原巧;「洪水災害時における地域避難システムの設計と評価(I)」,「水利科学」,No.147,p12-21,1982

図2.5.2 高潮、洪水災害における平均浸水深と死者率との関係(市町村単位)

*31 水谷武司;「これだけは知っておきたい 水害対策100のポイント」,p129,鹿島出版会,昭和60年

図2.5.3 浸水中の避難可能深度

*32 亀井勇;「台風に対して」,「天災人災 住まいの文化誌」,ミサワホーム総合研究所,1984

図2.5.4 浸水時の避難と荷物

*32 亀井勇;「台風に対して」,「天災人災 住まいの文化誌」,ミサワホーム総合研究所,1984