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2 風水害の種類別の基礎知識

4.風害

強風災害-2

 その他、二次的な災害としては倒木による建物の被害もあげられる。たとえば、近畿地方を通過した台風9907号では奈良・京都・滋賀県で歴史的建造物に多くの被害(図2.2.22)を及ぼした。強風時の人的被害については、転倒・飛ばされるなど直接的な被害だけでなく、飛散物にあたるなど間接的な被害がある。
 人的災害の原因としては、台風の強風に対する認識不足もあげられる。たとえば、台風通過時に台風の目付近で風が一旦弱まったあとに再び強く吹く場合(図2.2.23)や、台風の通過後数時間たって、風が弱まってきた頃に再び瞬間的な強風が発生する場合(図2.2.24)がある。
 このようなときに人々が安心して外出して被害の様子を見たり、修理を行っているときに被害に遭うことが多い。したがって、人的被害の軽減のためには台風による強風発生の特徴を一般に周知させることが重要で、できれば強風発生の詳細な場所や時刻を予報して知らせることができればさらによい。また、強風時の外出を避けることが基本で、とくに高齢者の外出は極力避けたい。もし、建物などに被害を受けた場合には、外出しないで最小限の修理を行い、本格的な修理は台風が過ぎ去り、風がおさまったことを確認してから行う。このとき、台風時の強風発生の特徴を知ったうえで、作業の安全を確保することが大切である。もちろん、事前の防風対策が重要であることは言うまでもない。
 その他、塩害による農作物、電力施設の被害も間接的ではあるが強風による災害としてあげられる。
図2.2.21 各種屋根葺き材の飛散距離

*19 藤本盛久・羽倉弘人;「現代建築防災工学」,オーム社,1981

図2.2.22 歴史的建造物の被害
倒木による延暦寺釈迦堂の被害。
図2.2.23 台風の目付近における風向・風速の変化(図中、時間は右から左に進む)
台風通過時に風が一旦弱まったあとに再び強く吹く、いわゆる“吹き戻し”あるいは“吹き返し”などと呼ばれる風速変化が起こることがある。このとき、以前よりも風速が強い場合がある。
図2.2.24 台風後方のpressuredip
台風によってはpressuredipとよばれる顕著な気圧の降下を伴った強風域が、台風の後方に存在する場合がある。これに伴い、台風の通過数時間後に風が弱まってきた頃に再び瞬間的な強風が発生する場合がある。

*17 研究代表者光田寧;「1991年台風19号による強風災害の研究」,「平成3年度文部省科学研究費突発災害調査研究成果報告」,1992

図2.2.25 瓦葺屋根の被害(古賀通生氏提供)
この図の場合、屋根の端部や棟は屋根に留めつけられているが、風速約40m/s以上では屋根に留めつけられていない屋根の中央部分がめくれ始める。

*17 研究代表者光田寧;「1991年台風19号による強風災害の研究」,「平成3年度文部省科学研究費突発災害調査研究成果報告」,1992

図2.2.26 薄鋼板屋根の飛散(橋本市教育委員会提供)
薄鋼板屋根の飛散では大きな金属薄板が飛ぶことがあり、二次的被害が大きくなることがある。