防災展示場
消防防災GIS
災害写真データベース

2 風水害の種類別の基礎知識

3.土砂災害 (地すべり・がけ崩れ(崩壊)・土石流)

地すべり

 地すべりとは斜面構成物質が塊状を保ちながら、重力の作用によって下方または外方へ滑動する現象である。第三紀層泥岩や結晶片岩あるいは温泉変質地帯のような特定の地質のところで発生する。明瞭な地すべり粘土を伴うことも多い。土砂災害の中ではもっとも大規模で、家や田畑を載せたまま動くこともある。運動速度は他の土砂災害に比して緩慢で、周期性・継続性がある。崩壊と異なり10〜20度の緩斜面で発生する。誘因は降雨や融雪で、雪国では融雪期、西日本では梅雨期や台風時が要注意である。日雨量10mm内外の降雨が5日間程度降り続くと地すべりが多発すると言われている。この程度の雨が一番地下に浸透しやすいからである。融雪の場合、気温6℃内外で融雪水量5cm程度の時多発するという。
 地すべりは明瞭な地形的特徴を有するので、空中写真判読などにより、地すべり地を摘出することは容易である。頭部に馬蹄形の滑落崖を持ち、前面の緩斜面には陥没地・小丘・地割れなどが見られる。実際に活動する地すべりはこうした古い地すべり地の再活動である場合がほとんどと言ってよい。したがって、危険箇所を特定することも比較的容易である。
 以上述べたことから、地すべりは発生すると大規模で物的損害は大きいが、動きが緩慢なため、逃げる余裕は十分あり、人的な犠牲を伴うことはまれである。*
 最近は、道路の拡幅や山地での建設に伴って、応力解放による岩盤すべりが多発するようになった。地すべりは前兆現象がキャッチされやすいので、人的被害はあまりでないが、労災事故を引き起こさないよう注意が望まれる。
 *昭和60(1985)年長野県地附山地すべり災害では、要援護者が多数生活する特別養護老人ホームが被災し、26名が亡くなった。こうした災害弱者関連施設では、十分な避難対策を確立しておくことが必要である。
図2.2.14 石倉山地すべり(平成2年7月4日発生)に関するデータ

*12 長崎県農林部林務課;「石倉山地すべり(平成2年7月4日発生)」,1992.10