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2 風水害の種類別の基礎知識

2.高潮害

高潮の成因

 高潮は、台風や冬期日本海を発達しながら西進する低気圧によって、図2.2.3のように、吹き寄せと、強風と気圧低下による吸い上げによって起こる海面上昇で、気象潮と呼ばれる。台風は、わが国に上陸する直前には北東方向に進むことが多く、太平洋に面する湾口が南西方向の湾奥で大きな高潮が発生し、これと天文潮の満潮が重なると被害はより大きくなる。わが国の20世紀における最大の高潮災害は、死者5,101人を出した昭和34(1959)年の伊勢湾台風高潮で、名古屋港で平均海面上3.89mに達した。また、日本海沿岸でも、西高東低の冬型の気圧配置下で、低気圧の東進に伴って、北西から西に湾口を有する海域で1m以上の高潮が発生する場合がある。台風が日本海を進む場合にも高潮は発生するので、要注意である。
 台風の東半円では台風の進行速度が加わって風速が大きくなるため、危険半円と呼ばれる。したがって、南西に湾口の向いた海域の西寄りを通ると、湾奥に向かって強風が吹くので大きな高潮が発生する。図2.2.4に高潮に対して危険な地域を示した。高潮の常習地帯は、鹿児島湾、有明海・八代海、周防灘、大阪湾、伊勢湾、東京湾であり、いずれも過去に2m以上の潮位偏差をもつ高潮が発生した。その他、土佐湾や富士海岸でも2mを超える高潮が過去に発生しているが、その理由はまだよくわかっていない。図2.2.4に海岸線を太く示したところは、高潮に対して危険な地域である。
 高潮常習地帯の地域防災計画における計画高潮のほとんどは、台風の最悪のコースを伊勢湾台風級の台風が通過すると仮定して数値計算で求めており、既往最大の考え方に準拠している。また、高潮時に伴う高波浪のwave set-upによる海面上昇(通常、波高の10%程度)や越波の影響を忘れてはいけない。台風や冬季低気圧の通過中から通過後にかけて、湾長と湾幅に関係した副振動が湾内に起こり、海面の上下動を繰り返し、高潮に重なるので、台風が過ぎ去った後の水門の開閉や避難所からの帰宅時間にも注意しなければならない。図2.2.5は台風18号によって発生した潮位変化で、台風の通過後、顕著な揺れ戻しが起こっているのがわかる。表2.2.2は過去の代表的な高潮災害をまとめたものである。
図2.2.3 高潮の発生のメカニズム
図2.2.4 高潮に対して危険な海域と地域
図2.2.5 典型的な高潮による海面変化
表2.2.2 1900年以降のわが国で起こった高潮災害の例
注)T.P.:東京湾平均海面(TokyoPeil)、海抜ゼロメートルのこと。

*8 「海岸ハンドブック」(1997、建設省河川局防災・海岸課海岸室監修)に追記