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2 風水害の種類別の基礎知識

1.洪水害

都市化と内水災害

 わが国においては、都市化の進展による降雨流出特性の変化と都市への資産の集中が進むにつれ、都市における水害が増大してきた。図2.2.2は、東京圏、名古屋圏、大阪圏の三大都市圏の洪水災害のうち、内水災害と外水災害をとりだして示したものである *6)。内水災害が都市において、外水災害よりも大きいことがわかる。このような都市水害の増大の基本的な背景として、次の点があげられる。
 1) 水田が宅地化されるなどして貯留能力が減少し、舗装面や宅地の屋根など不浸透域の増大のために流出率が増大して、流域の保水・遊水機能が減少して、降雨から出水に至るまでの時間も短くなる。
 2) 地盤の低い排水条件が悪いところで、雨水が滞留することになる。
 3) 都市に資産が集中して、単位面積あたりの被害額を増大させている。これらの背景に加え、近年の水害では、つぎのような水害に対する都市の弱さが目だって来ている。
 4) ライフラインの電気系統の被害、ビルの地下設備、通信系統、コンピュータの被害による都市機能の麻痺、放置自動車による交通障害など水に弱い都市の側面が問題となってきている。
 5) 水害への対策が不十分な地下空間への雨水の浸入による水害が顕著になってきている(表2.2.1) *7)。
 これらの都市水害の特徴に対応した都市の洪水現象の的確なモデル化と現象理解が望まれる。 また、豪雨による河川の溢水、破堤、氾濫と内水災害が複合した大規模水害も発生しており、内水災害に備えて都市の耐水性を高めるだけでなく、超過洪水に対する対策が重要である。
図2.2.2 三大都市圏の洪水被害の原因別割合
表2.2.1 地下鉄及び地下街における主な水害

*49 神山恵三;「地下街と人間−安全性の総点検−」,日経新書217,日本経済新聞社,p47,1974

*50 末次忠司;「水防災のための危機回避方策〜防災・情報・危機管理セッション〜」,「河川技術に関する論文集」,土木学会,p23,2000

*6 戸田圭一;「特集記事 都市水害 1.都市水害の変遷と今後の動向」,p140,「自然災害科学」,Vol.19,No.2,自然災害学会,2000

*7 末次忠司;「特集記事 都市水害 4.流域治水としての都市水害対策」,p157,「自然災害科学」,Vol.19,No.2,自然災害学会,2000