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3 観測と地震予知

地震の予知 (2) 前兆的現象の事例

 現在の地震予知は地震の前兆現象を捕捉することを目標としてきた。実効ある地震予知実現のためにはこの前兆現象がよく理解されていなければならない。しかし、研究が進むにつれて前兆現象の現れ方は地震によってまちまちであり、前兆現象が観測されないこともあるということがわかってきた。現在のところ、はっきりした前兆と考えられる現象が捉えられたのは以下に示すような少数例にとどまっている。

その1:1872年の浜田地震(M7.1 )では1週間くらい前から鳴動があり、本震の1時間前にかなりの地震が起こった。本震の5〜10分前に海水が2m以上も下がった所もある。
その2:1944年の東南海地震(M7.9 )の時には静岡県掛川付近でちょうど水準測量が行われていた。この測量データを詳しく調べてみると本震の2〜3日前から始まった異常な地殻変動が次第に加速していったことがわかる(図1.3.12)。本震の直前には測量に用いる水準器の気泡がゆれて静止しないほどの状況であったといわれている。
その3:1960年のチリ地震(M8.5)では33時間前からM7クラスの大地震もまじえた前震活動があった。
その4:1978年の伊豆大島近海の地震(7.0)では約4時間前から前震活動があった。約2か月前からの石廊崎における体積歪計等の変化を図1.3.13に示す。伊豆半島先端の石廊崎の記録では40日ぐらい前から異常な変化をはじめ、1月11日になって変化の向きがかわり、その3日後に地震が起こった。同時期に伊豆半島内の地下水位、ラドン濃度等でも同様なデータの変化が観測されている *51)
図1.3.12 1944年の東南海地震(M7.9)の直前の掛川付近の地盤の傾斜量の時間的変化 *50)
縦軸は角度の秒。本震の2〜3日前から始まった異常な地殻変動が次第に加速していったことがわかる。
図1.3.13 1978年伊豆大島近海地震(M7.0)の前兆現象 
左に現象の時間的推移,右にそれぞれが観測された位置(図中の1〜7)を示す。体積歪でB、Cはそれぞれ縮み変化の始まりと伸びへ反転した時期を表す。石廊崎の記録は40日ぐらい前から異常な変化をはじめ、1月11日になって変化の向きがかわり、その3日後に地震が起こった。同時期に伊豆半島内の地下水位、ラドン濃度等でも同様なデータの変化が観測されている。