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2 地震と地震災害

強震動予測-2

・断層モデルを想定した方法
 兵庫県南部地震では、神戸市域を中心に、家屋等の多くの構造物が甚大な被害を受けた。神戸における被害集中域に近い鷹取や葺合では、水平動成分に、800galの最大地動加速度が記録されている。一方、被害のずっと少なかった1994年ノースリッジ地震(アメリカ合衆国)の時は、震源域から数kmのタルザナで最大1800galを越え、900galを越えた観測点が3ケ所あった。また、1993年北海道南西沖地震の最大余震(M6.3)の時は、震源から14kmも離れた乙部町で、1600galの最大加速度を記録したが、強震計の置いてあった校舎は無被害であった。このような事例から、被害分布と地震動の対応関係を考察するには、地動加速度や地動速度の最大値だけでは不十分で、地震動の波形が重要であるとの意見が強くなってきている。
 現在、活断層を想定して、そこで地震が発生したときの地震動の波形を予測するための方法が、盛んに研究されている。予測のためには、断層に関係する様々なパラメータと断層の破壊過程(→震源が地震動に与える影響)(破壊開始点、破壊の進行の様子、アスペリティの分布)を与え、震源から予測対象地点までの波動伝播特性を考慮することが必要である。波動伝播特性の考慮のしかたには、表層地質の地下構造モデルを必要とする理論的な手法と、震源域近傍で発生した小地震(予測のためには想定地震が発生する前に起こったものが必要)の波形記録などを利用する半経験的な手法がある。図1.2.12に大阪府での実例を示す。
 ところで、この予測手法は本質的な問題を抱えている。それは、大地震時の断層の破壊過程を事前に予測することが現時点では極めて困難であるということである。そのため、1つの活断層につき様々な破壊パターンを想定し、予測結果にある幅を持たせるという試みも行われている。
図1.2.12 大阪府の地震被害想定調査において行われた強震動予測手法のフロー *23)
まず、ある断層モデルを仮定し、全ての地点で共通であると考えられる深部地盤構造だけを考慮して、地震波の長周期成分と短周期成分を異なった方法で計算し、足し合わせる。これにより得た長周期から短周期成分までを含む予測波形に、各地点での表層地盤の影響を加味して、地表面での波形を予測する。さらに、この予測波形から、最大加速度、最大速度、計測震度の予測値を抽出する。