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2 地震と地震災害

1995年兵庫県南部地震による神戸市域での地震動-1

 兵庫県南部地震では、神戸市域を中心に、多くの構造物が、強い地震動(強震動)により甚大な被害を受けた。この被害の大きさ故に、“想像を絶する強震動”などと表現されることがある。しかし、地動の最大加速度値や最大速度値で見る限り、神戸市域を襲った強震動は、経験の範囲内に収まることがわかっている(→強震動予測-1図1.2.11)。
 神戸での木造住宅や中低層建物の甚大な被害の原因の1つとして、震源断層から放射された長周期パルス波(→震源が地震動に与える影響)が挙げられている。図1.2.9は兵庫県南部地震の際に、神戸大学で記録された地動速度記録であり、南北成分の波形は2つパルス状の波から構成されていると言っても過言ではない。これらのパルスは、それぞれ明石海峡の下と神戸側断層の中心付近のアスペリティー(→震源が地震動に与える影響)で発生した大きな地震波が、指向性の効果(→震源が地震動に与える影響)によりさらに大振幅のパルス波になったものと理解されている。このパルス波は周期1〜2秒を中心に広い周期帯域にパワーをもっている。一方、木造住宅や中低層建物の固有周期は0.1〜1秒程度であり(→地震波のスペクトル・地盤(堆積層)による地震波の増幅・共振現象)、単純な共振現象(→地震波のスペクトル・地盤(堆積層)による地震波の増幅・共振現象)では被害の説明がつかない。これは次のように説明されている *1)
 木造住宅や中低層建物は、まず広い周期帯域にパワーをもっているパルス波のうちの短周期成分の影響を受け、それによって建物の一部が損壊し、ガサガサ揺れるようになって固有周期が延びる。その状態で1秒を越える長周期波が効いてきて、全壊に至るような大きな被害になったというものである。このように、長周期パルス波は建物に大きな被害を引き起こしうるので、キラーパルス(killer pulse)と呼ばれることもある。指向性の効果による長周期パルス波の発生は兵庫県南部地震に特有のものではなく、カリフォルニアの地震において多く報告されている *19)
図1.2.9 兵庫県南部地震の際に神戸大学で記録された地動速度記録 *20)
関西地震観測研究協議会によって設置された強震計の記録。各成分はそれぞれ、北、東、上方向をプラスにとっている。