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2 地震と地震災害

津波の発生

 海底地震、海底火山の噴火、海岸での山崩れなどが津波を引き起こす。最も多い原因は地震である。大地震が海底下の比較的浅い部分で発生すると、広範囲にわたって海底の急激な隆起や沈降が、長くても100秒前後の時間内に生ずる。この海底変動により海面に生じた水位変化が初期波形となり、津波は周辺へと伝わって行く。
 津波初期波形は、地震波の解析から推定される断層パラメタに基づいて計算出来る。
 断層パラメタとは、図1.2.24 *30)に示すように、断層面の傾斜角δ、断層面の走向φ、断層の食い違いの方向λ、断層面の長さL、断層面の幅W、食い違いの大きさ(上盤の動き)D、断層面の海底面からの深さH*などのことである。図1.2.25 *30)は、断層(太い実線)が矢印の様な動きを示したときに生ずる地表面の鉛直変位断面(点線)の模式図である。
 1983年(昭和58)日本海中部地震津波の海底地盤鉛直変位を断層パラメタにより計算して求めた例が図1.2.26 *31)である。ところがこれを初期波形として計算すると沿岸での津波が実績に比べて小さすぎるため、図1.2.27 *32)のように修正された。
 断層パラメタでは断層運動の大略を表現できるが、海底地盤変位の詳細を再現できるとは限らない。図1.2.28 *33)は、海底地盤鉛直変位が実測された1964年(昭和39)アラスカ大地震の例である。側線A−A'に沿った断面図を下に示してある。波長450kmほどの変位に、鋭いピークを持つ短波長の山が重なっており、津波に与える影響は大きい。しかし、この短波長の鉛直変位を地震波の情報から求めることは未だ出来ない。
図1.2.24 断層パラメタ *30)
図1.2.25 断層(太い実線)の動き(矢印)とそれに伴う地表面鉛直変位断面(点線)の模式図 *30)
図1.2.26 断層パラメタに基づいて計算された日本海中部地震による海底面の鉛直変位分布 *31)
実線は隆起、点線は沈降を示す。単位はcm。最高隆起は1.5m。
図1.2.27 沿岸での津波高を説明するための修正を行って得られた日本海中部地震津波の初期波形 *32)
単位はm。最高隆起は4m。
図1.2.28 実測された1964年(昭和39)アラスカ大地震による地盤鉛直変位 *33)
単位はm。下に示すA−A'断面での、原点付近の鋭いピークは断層パラメタからは求められない。