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2 地震と地震災害

斜面崩壊、地すべり

 斜面崩壊は地震や降雨によって発生することが多いが、地震によるものは斜面の上部や凸形斜面で、降雨によるものは斜面裾部や凹形の地形に起こりやすいと言われている。しかし、斜面崩壊の特徴は地形だけでなく地質にも関係する。粘着力の少ない砂礫質の斜面では、表面付近が洗い流されるように崩れるが、粘着力の大きい粘土質の斜面では、深い崩壊面が現れる。
 1984年(昭和59)長野県西部地震では、王滝村村越で山麓の段丘面をスプーン状に深くえぐるような斜面崩壊が発生した。崩壊の最大深さは30m、最大幅は170mあり、20m近い垂直な崖が形成された。29万m3に及ぶ土塊は道路と民家を載せたまま滑落して12名の人命を奪うとともに、一部は対岸斜面に35mも乗り上げた。
 1978年(昭和53)宮城県沖地震で生じた宅地造成地盤の地すべりは、都市周辺における当時の安易な宅地開発に警告を与えた。地すべりが発生した仙台市内の宅地の多くは15〜20°の勾配をもつ丘陵地の沢を5〜15mの厚さで盛土した新興住宅地にあった。盛土工事の締め固め不足で透水性が高かったため、永年にわたって地下水が多量に浸透して軟弱化し、地すべりを誘発したものと考えられている。
 斜面の安全性を解析するための手法は種々提案されているが、最も簡便なものは円弧すべり面法である。この手法では、斜面内に円弧状のすべり面を想定し、この面に沿って滑ろうとする作用力とそれに抵抗する土の強度(抵抗力)を比較し、前者が後者より大きければ、斜面は崩壊する。この作用力として地震による慣性力(地震力)が重力に加わるため、地震時は常時よりも斜面の安定度が低下することになる。
図1.2.16 1984年(昭和59)長野県西部地震による王滝村村越での斜面崩壊 
図1.2.17 円弧すべり面法による安定解析の概要