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2 地震と地震災害

地震波のスペクトル・地盤(堆積層)による地震波の増幅・共振現象

・地震波のスペクトル
 地震波は様々な周期成分の波が異なる割合で重なり合ったものとみなすことができる。この成分の大きさを周期または周波数の大小の順に従ってならべたものをスペクトルという。図1.2.13は実際に観測された加速度地震記録のスペクトルを示したもので、実線と破線は、それぞれ地表と地下100 mの地盤中の地点での地震記録のものである。この記録の場合、地表では、周期0.8 秒と1.5 秒付近の成分が最も卓越していることがわかる。
・地盤(堆積層)による地震波の増幅
 図1.2.13を見ると、地表でのスペクトルは地下100 mでのスペクトルに比べて大きくなっていることがわかる。これは、地盤によって地震波の振幅が増幅されるためである。地盤による増幅の程度は周期成分により異なり、どの周期成分が大きく増幅されるかは、地盤の性質により大きく異なる。定性的には、軟弱地盤では長周期の波が増幅されやすく、硬質地盤では短周期の波が増幅されやすい(例えば、沖積低地である東京下町(軟弱地盤)では周期0.5〜1秒程度の地震波が、洪積層の台地である東京山手(硬質地盤)では周期0.3〜0.5秒の地震波が大きく増幅される。 *25))。地盤の地震波伝播速度、密度、厚さの情報がわかれば、計算によりどの周期成分が大きく増幅されるかが定量的に評価できる。 
・共振現象
 建物には構造や高さにより、その建物に固有の振動周期がある。これを固有周期という(図1.2.14参照)。建物にこの固有周期と同じ周期の力が作用すると、共振現象が起こって、建物の揺れが大きくなる。地震時の建物の揺れは、地面の揺れ即ち地震動が力として作用することにより生じるものであるから、建物の揺れの程度と、地震動がどのような周期成分を含んでいるかということには密接な関係がある。地震動がどの周期に大きなエネルギーを持つかは、地盤により大きく左右されるため、場所毎に地盤の増幅特性を知ることが重要となる。
図1.2.13 実際に観測された加速度地震記録(水平成分)のスペクトル 
地表(実線)と地下100mの地盤中の地点(破線)でのスペクトルが比較されている。
図1.2.14 構造物の固有周期の分布 *24)